"追放母の25億売却" 第3話
建設現で得たを元に、子の助言で郊のさなを買った。そのが再発の波に乗り、像もしていなかった価値をんだ。
そのもはしずつや建物を増やし、健太の学費と留学費用を支えた。息子の結婚には、会社の福利を通してめるよう、あのペントハウスまで用した。
所者が母親だとはかさなかった。健太には、勤務先が契約してくれた社宅だとわせていた。
自分のは擦り切れるまで着続け、事は残り物で済ませた。それでも息子の成功だけが、のびであり、きるだった。
証券会社へ入り、国会議員の娘だという里奈と結婚し、都のペントハウスで暮らす息子。順満帆に見えるのには、の傷だらけのがあった。
そう信じて疑わなかった。
タクシーは華やかな通りから細いへ入り、暗いにある建物ので止まった。予約されていたのは級ホテルではなく、張の会社員が使うような価なビジネスホテルだった。
「お客様、着きましたよ」
運転の声でに返り、は震えるで料を支払った。
無質なフロントで鍵を受け取り、狭い部へ入る。扉をけた瞬、消毒液の匂いがかすかにをついた。
はさなスーツケースを壁際へ置き、ベッドの端に力なく腰をろした。
広告
息子のペントハウスにあった広々としたリビングをいすと、その落差に眩暈を覚えた。
空腹をじ、くのコンビニでおにぎりとお茶を買ってきた。テレビをつけると、画面のでは芸たちがお盆の帰省について笑いながら話していた。
「うちのお袋の煮物がさ」
その言葉が聞こえた瞬、はリモコンを握りしめて源を切った。
静まり返った部に、自分の呼吸だけがきく響く。おにぎりをひとべたが、砂を噛んでいるようで、それ以み込めなかった。
窓のには、京のビル群のかりが広がっている。空はく霞み、崎のから見えるようなは1つも見えなかった。
優がきていた頃、縁側で2並んでを眺めた夜があった。あの頃は貧しくても、は満たされていた。
なぜ、こんなことになったのだろう。
は自分が今も清掃の仕事を続けているからだろうかと考えた。崎では、公民館やさな事務所を掃除し、所のと助けいながら暮らしている。
汗を流して働くことに誇りはあっても、恥じたことなど度もなかった。しかし裕福な庭で育った里奈にとって、清掃員の姑は自分の経歴を汚すなのかもしれない。
そして健太も、そんな妻の価値観に染まってしまったのだろうか。自分の母親を恥ずかしいとっているのだろうか。
広告
そう考えた瞬、抑え込んでいたが気に崩れた。
い涙が頬の皺を伝い、次々と溢れした。声を漏らさないよう枕へ顔を押しつけると、しゃくりげるたびにシーツが濡れていった。
悔しかった。
何よりも、しかった。
この世でたった1、自分の命より切に育ててきた息子に、を疎まれている。その事実が鋭い刃物となり、何度もの胸を突き刺した。
どれほど泣いていたのか分からない。が疲れ切って井を見つめていると、枕元のスマートフォンが振した。
画面には、健太の名が表示されている。
もしかすると、配して話をくれたのかもしれない。里奈のでは言えなかったが、本当は母親を部へ泊めたいとっているのではないか。
淡い希望を抱き、は通話ボタンを押した。
「もしもし」
「あ、母さん。ホテルには着いた?」
健太の声は事務で、どこかたかった。その調子を聞いただけで、のさな期待は崩れ始めた。
「着いたよ」
「それで、からのことで話があるんだ。今からに戻ってきてもらえないかな」
のがわずかに揺れた。やはり謝るつもりなのかもしれないと、もう度だけ息子を信じたくなった。
は再びタクシーへ乗り、空のへ向かった。
しかし、そこで待っていたのは謝罪ではなかった。
ペントハウスのリビングへ戻ると、健太と里奈が妙に改まった顔でソファに座っていた。