"追放母の25億売却" 第2話
私たち、今はこれから私の両親とゴルフですの」
そんなはずはない。健太は話で、迎えにはけないが今の午には来てほしいとはっきり言っていた。
しかし里奈のたい線を受けると、はそれ以言い返せなかった。自分の記憶違いかもしれないと、ので無理に納得しようとした。
里奈はに置かれた箱へ目を向け、骨に眉をひそめた。
「それは何ですの?」
「ああ、これね。健太の好きなものを、いろいろ作ってきたとよ」
は嬉しそうに箱を持ちげた。せめて料理を見れば、里奈もしはんでくれるとった。
ところが里奈はいため息をつき、信じられない言葉をにした。
「お義母様、料理の類は結構ですと申しげたはずです。こういうものはのに匂いがつきますから、本当にやめていただきたいんです」
が言葉を失っているに、里奈はくのごみ置きからきな袋を取りした。箱の蓋をけると、のから奪うようにして傾けた。
煮しめが、老が、ぷらが、音をてて黒い袋のへ落ちていく。何もかけて準備した料理が、べ物として扱われることさえなく、無残に崩れていった。
「何を……」
の喉からたのは、声とも息ともつかない音だけだった。
里奈は空になった箱を戻すと、今度は1枚のとカードキーを差しした。
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「とりあえず今夜お泊まりになるホテルは予約してあります。それから、こちらはマロンのお世話の覧です。からお願いできますわよね」
ホテルの予約確認と、犬の世話を細かく記した表だった。はそれを受け取ったまま、自分が何のために崎から来たのか分からなくなった。
温かな族の卓をい描いていたが、京の空ので音をてて崩れていった。
タクシーの窓のを、京の夜景が滝のように流れていった。は里奈から半ば押しつけられるように渡された予約確認を運転へ見せ、部座席へくを沈めていた。
箱のがごみ袋へ落ちていく景が、何度も瞼の裏に蘇った。料理だけではなく、自分のそのものを捨てられたような気がした。
は膝のに置いたを見つめた。い皺が刻まれ、指の節は太く、爪の周りにはの仕事で染みついたさが残っている。
若い頃のふっくらとしたは、もうどこにもなかった。このは、息子の健太を育てるためだけに働き続けてきた、のそのものだった。
夫の優が建設現の事故でくなったのは、健太がまだ腹のにいただった。空が崩れ落ちるような絶望のでも、には泣き続けているがなかった。
まれてくる子供のために、きなければならない。
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女1つで、この子を派に育てなければならない。
そので、の野菜売りも、夜の堂の皿洗いも引き受けた。しかし、どれほど働いても元に残るはわずかだった。
そんな、優のかつての同僚が、再発域の建設現を紹介してくれた。男ばかりの現で、妊娠のへ向けられる線は決して優しいものではなかった。
「女が来るところじゃねえ。に帰って噌汁でも作ってろ」
ない言葉が毎のように背へ突き刺さった。汗と埃にまみれ、セメントので髪がくなっても、は歯をいしばって働き続けた。
きくなっていく腹をかばいながら資材を運び、スコップを握った。の灼と鉄骨のたさが、容赦なく皮膚を傷つけた。
そこで会ったのが、数歳の桜子だった。同じように現で働く彼女だけが、の方になってくれた。
「、私らは男の倍働いて、やっと1だ。何くそって根性でやるしかないよ」
子の言葉に励まされ、2は戦友のように過酷な々を乗り越えた。
そうして稼いだは、ほとんど健太のために使った。良いを着せ、栄養のあるものをべさせ、本が望む教育はすべて受けさせた。
健太が京の学へきたいと言ったも、へ留学したいとを語ったも、は迷わず頷いた。
その裏で自分が何を諦め、どれほど働いたかを、息子へ話したことはなかった。