"鳴らなかったホイッスル" 第8話
1の女性が健にをげた。
「諦めずに探し続けてくれて、ありがとうございました」
健は静かに礼を返し、追悼のへ膝をついた。
鞄からさな箱を取りした。
に入っていたのは、擁壁から15ぶりに発見された美咲のホイッスルだった。
汚れは丁寧に落とされ、切れたの紐も修復されていた。
健はそれを首からげた。
「姉ちゃん、もう寒くないよね」
が枝を揺らした。
健はホイッスルを元へ運び、く息を吸った。
澄んだ音が、葉に包まれた峠へ響き渡った。
15、たい擁壁ので鳴らすことのできなかった音。
助けを求めるために握りしめながら、誰にも届かなかった音。
今、その音は絶望のらせではなかった。
美咲がようやくへ帰ったことを告げる、静かな鎮魂の音だった。
に乗った音がの向こうへ消えていく。
健は涙を拭い、空を見げた。
「僕、これからも懸命きるから」
追悼の葉が、優しく揺れた。
まるで美咲が弟の肩にを置き、もう丈夫だと伝えているようだった。
健はちがり、姉の眠るへくをげた。
そして振り返ると、公園のへ向かって歩き始めた。
その取りに、もう15の迷いはなかった。
美咲が最まで放さなかったホイッスルは、これからも健の胸元で揺れ続ける。
真実は、く埋められても消えることはない。
声を奪われた者のいも、待ち続けた族の願いも、いつか必ず誰かのもとへ届く。
箱根峠に響いたあの音のように。