"鳴らなかったホイッスル" 第5話
「危険です。こちらで正式な続きを取ります」
藤は止めたが、がなかった。
健が施設で働き始めて4目、鈴の病が判した。
老は3階の番奥にある個へ隔され、特別管理対象とされていた。
清掃用具を持って部へ入ると、鈴はベッドに座り、井を見つめていた。
健の顔を見た途端、老の体が震え始めた。
「また来た……また、あの夜が来た」
「鈴さん。僕は美咲の弟です」
「帰れ。何もらない」
健はポケットからの紐を取りした。
「これを見てください」
鈴の目から涙が流れた。
健はベッドのそばへ座った。
「姉は15、あの壁のにいたんですか」
老は何度も首を振った。しかし、そのからさな嗚咽が漏れた。
「私は……怖かった」
「何を見たんです」
鈴は、ついに語り始めた。
あの夜、島がバスを退させた際、のにいた美咲へ衝突した。
美咲は倒れたが、まだきていた。
島は救急を呼ばなかった。美咲がホイッスルを吹こうとすると、くに落ちていたのようないもので部を殴った。
その、島は休憩所くの事現で待していたミキサーの運転、を呼びした。
を渡す約束をし、擁壁の事途だった空へ美咲を入れ、コンクリートを流し込ませた。
「女のは、まだをかしていた」
鈴は両で顔を覆った。
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「ホイッスルを握っていた。助けを呼ぼうとしていたんだ。それなのに私は、怖くて何もできなかった」
健は携帯話で証言を録音し、藤へ送信した。
そののうちに鈴を全な所へ移した。
翌、島は鈴が施設から消えたことをった。
そして健を連れるよう、部へ命じた。
夕方、健の帰宅途に黒いがまり、3の男がりてきた。
「。しくに乗れ」
男たちが囲んだ瞬、周囲に待していた刑事たちが斉にびした。
藤は健のを守るため、密かに監班を配置していたのだ。
「警察だ! 全員、をげろ!」
男たちはそので逮捕された。
事聴取により、島の秘から指示を受けていたことが判した。
しかし、検察は慎だった。
「証言は得られました。しかし遺体がなく、直接な物証もしています」
公訴効まで、残り15となっていた。
捜査チームは、ミキサーを運転していたの方を追った。
しかしは5にくなっていた。
健は提案した。
「遺族を探してください。ぬまで罪を抱えていたなら、何か残しているはずです」
所記録を調べた結果、の息子、実が阪の古いアパートで暮らしていることが分かった。
藤と健は阪へ向かった。
実は、ドアの隙から2を見た途端、険しい表になった。
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「父に関することなら、話すことはありません」
「19881014の箱根峠について、お聞きしたいんです」
「りません。帰ってください」
実は扉を閉めた。
藤は京へ戻らなければならなかったが、健はアパートのに残った。
「僕は15待ちました。あと数なら待てます」
健は階段の隅で夜をかした。
1目、実はてこなかった。
2目はがった。健は傘も差さず、姉の写真を抱えて座り続けた。
3目のけ方、健は閉じた扉に向かって語り始めた。
「姉が消えた、祖母もくなりました。僕はを辞めて、建設現を転々としました」
返事はなかった。
「稼いだは全部、姉を探すために使いました。僕に残っている族は、この写真のの姉だけです」
健は写真を扉のから差し入れた。
4目の朝、扉がいた。
実の目は赤く腫れていた。
「入ってください」
部へ通された健に、実はを差しした。
「父はぬまで悪にうなされていました。がる夜になると、毎回泣いていたんです」
実は奥の押し入れから、古い学ノートを取りした。
「ぬに燃やせと言われました。でも、できませんでした」
最初のページには、19881014の付があった。
震えた文字で、い文章がかれていた。
――を埋めた。島が命令した。女はきていた。
ページをめくると、さらに詳しい記録が続いていた。
――バスにひかれた女がホイッスルを吹こうとした。島がで殴った。コンクリートを流して埋めろと言われた。
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