"勘違い常連の末路" 第8話
最初から連絡する気がない。
名刺を受け取ったこと自体を迷惑にじている。
その能性だけは、度も考えなかった。
佐々にとって、連絡先を渡された女性が何もしないのは、自分に興がないからではない。
方法が分からない。
勇気がない。
周囲の状況が許さない。
必ず何か事があるはずだとしか考えなかった。
1週が過ぎた。
佐々のでは、苛ちよりも配がきくなっていた。
佳奈は1で悩んでいる。連絡をしたくてもできず、で会えるを待っているのかもしれない。
そうであれば、今度はこちらからさせてやる必がある。
無理に話を求めているわけではない。
名刺を見つけたか確認し、連絡しても迷惑ではないと伝えてやればいい。そこまでして初めて、佳奈もけるのだろう。
曜の午、佐々はへ向かう準備をした。
佳奈を責めるつもりはなかった。
連絡できなかった理由を聞き、必ならもう度番号を教える。自分がっていないと分かれば、佳奈もするはずだ。
玄関をる、佐々は携帯話の画面をもう度確認した。
着信はない。
それでも、拒まれたとはわなかった。
自分から連絡する勇気が持てず、佳奈は今もで待っている。
佐々はそう信じたまま、へ向かった。
へ入ると、佐々はいつものように内を周した。
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佳奈はレジにっていた。そのしろには、の黒田の姿もある。
佐々は何も気にせず、佳奈のレジへ向かった。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ」
佳奈の表は、以よりもかった。
だが佐々には、個な連絡先を渡されたことで、どう接すればいいか迷っているように見えた。
「この、名刺を入れておいたんですけど、気づきましたか?」
佳奈のが止まった。
「はい」
「やっぱり見つけてたんですね」
佐々はしたように元を緩めた。
「連絡がなかったから、名刺が落ちたのかとっていました」
佳奈は答えなかった。
「裏に携帯の番号をいてあったんですけど、そっちにも気づきましたか?」
「はい」
「じゃあ、連絡するタイミングがなかったのかな?」
佳奈は度息をえ、佐々へ向き直った。
「そうではありません」
佐々の笑顔がくなった。
「個に連絡するつもりがなかったので、連絡しませんでした」
佐々はしばらく、その言葉のを理解できないように佳奈の顔を見つめた。
「でも、ご主のことで何か悩んでいるんじゃないですか?」
「夫婦のことで悩んでいるとは、度もお話ししていません」
「でも、わざわざ僕にご主の話をしましたよね」
「既婚者だとお伝えすれば、距を取っていただけるとったからです」
佐々の顔から、完全に笑みが消えた。
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「距を取るって、どういうことですか?」
「佐々さんは何度も私を訪ねてこられ、勤務も聞かれました」
佳奈はにならず、できるだけ静かに続けた。
「会計が終わってもくそのに残られました。もしかしたら、何か誤解をされているのかもしれないといました」
佐々はすぐに首を横へ振った。
「でも、最初に僕へ声をかけたのは野さんでしょう」
「本を探していらしたので、お声がけしました」
「僕が買った本も覚えていましたよね」
「接客した内容を覚えていることはあります」
「何度も本を選んでくれたじゃないですか」
「本を紹介してほしいと頼まれたので、ご案内しました」
佐々の声が、しずつきくなった。
「また声をかけてくださいとも言いましたよね」
「本をお探しの際は、スタッフへお声がけくださいというです」
「でも、普通の客にあそこまで親切にしますか?」
佳奈の表から、接客用の笑顔が消えた。
「普通のお客様だから、普通に接客しました」
佐々は黙り込んだ。
自分だけが特別だったはずの来事が、全て仕事だったと告げられた。
そこには、佐々が信じていたが何もなかった。
それでも、自分が全て勘違いしていたとは認められない。
佐々は、隣につ黒田へ線を移した。
「僕は別に、事に誘ったわけでもありません。
交際を迫ったわけでもない。ただ困っているなら、相談に乗ろうとっただけです」