"勘違い常連の末路" 第6話
自分から女性へ働きかけることは苦でも、女性から向けられた反応には過剰なをつける。
それが接客であっても、佐々のでは違っていた。
最初に声をかけたのは佳奈。
本の話を始めたのも佳奈。
夫がいると打ちけたのも佳奈。
全て女性側から起きたことだと、佐々は考えていた。
だが駅へ向かって歩くうちに、苛ちは別の解釈へ変わり始めた。
佳奈は今、あえて夫の話をした。
単なる客に、庭のことを話す必はない。それでも伝えたのは、自分へ何かを分かってほしかったからではないか。
好はある。
ただ、夫がいるため自分からはけない。
その葛藤を、回しに伝えたのかもしれない。
佐々は、佳奈が距を取るために示した夫のを、2の関係をめられない事へと作り替えた。
結婚活がうまくいっていない能性もある。
趣は同じでも、夫は佳奈の話を聞かないのかもしれない。
そこへ、自分のような落ち着いた男が現れた。
く迫ることもなく、静かに本の話ができるの男。
佳奈が惹かれてしまっても、議ではない。
自宅へ着く頃には、佐々はショックよりも使命を抱いていた。
既婚者を誘うつもりはない。
庭を壊したいわけでもない。
ただ、佳奈が何かを抱えているなら、話せる所を用してやってもいい。
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自分から助けを求められない女性に、こちらがきっかけを作る。
佐々は、それをいやりだと信じていた。
数、佐々はへかなかった。
すぐに顔を見せれば、佳奈も気持ちを理できないだろう。しを空けることで、自分との会話や、夫について話したことを考える余裕ができる。
それも相への配慮だとっていた。
佐々は、自分から佳奈の連絡先を聞くつもりはなかった。
こちらから番号を尋ねれば、まるで自分が追いかけているように見える。
最初に声をかけ、そのも何度も話題を振ってきたのは佳奈の方だと、佐々はっていた。本当なら、佳奈から連絡先を尋ねてきてもいいくらいだった。
ただ、夫のいるでは自分から言いしにくいのだろう。
それに員と客という関係では、個なことをにするきっかけもない。
もしかすると佳奈は、自分と連絡を取りたいといながら、方法がなくて困っているのかもしれない。夫のことで誰かに話を聞いてほしくても、頼る相がいない能性もある。
そこまで考えた佐々は、仕方なく自分の方から1歩だけいてやることにした。
こちらの番号を渡しておけば、佳奈は必なに連絡できる。
きっとするだろう。
佐々のでは、それは押しつけではなかった。
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自分から頼むことのできない佳奈へ、連絡してもいい理由を与えてやるだけだった。
会社の机から、自分の名刺を1枚取りした。
表には会社名と総務部の話番号が印刷されている。佐々は裏返し、青いボールペンで自分の携帯話番号をいた。
さらに、そのへさくき添えた。
「いつでも丈夫です」
き終えた名刺を眺め、佐々は満そうに頷いた。
事へ誘っているわけではない。
好きだと伝えるわけでもない。
佳奈が何かを話したくなったに、連絡できるようにしておくだけだ。
自分から助けを求めにくい佳奈にとって、これほどありがたい方法はないとった。
次の曜、佐々はへ入り、いつものように佳奈の姿を探した。
レジにはいない。
文芸の棚にもいない。
内をゆっくり回ると、サービスカウンターで客の対応をしている姿が見えた。
佐々はくの棚で本を眺めるふりをしながら、その客がれるのを待った。
カウンターが空いたところで、スマートフォンをにづいた。
「この本を取り寄せたいんですが」
画面には、以話していた作の古い作品が表示されていた。
佳奈は端末で庫を確認した。
「からのお取り寄せになります。しおをいただきますが、よろしいですか?」
「丈夫です」
佳奈は注文用を差しした。
「こちらに、お名とお話番号をお願いします」
佐々は記入台へ移した。
名と携帯番号をき、用を2つ折りにする。