"喪服の離婚届" 第7話
ろの社員たちは、迷惑そうに隣の列へ移していった。
やがて警備員がづいた。
「瀬誠治さんですね。事部へお越しください」
「なぜですか。カードの具でしょう」
「でお待ちです」
誠治は、正式な調査終の通を受けるのだとい直した。
エレベーターの鏡でネクタイをえ、優秀な社員らしい表を作った。
案内されたのは、営業社員が滅に入ることのない奥の会議だった。
いテーブルの向こうには、事部、法務担当、営業本部が座っていた。机には分いファイルが積みげられている。
誠治は作り笑いを浮かべた。
「おはようございます。昨の調査の件で呼ばれたのでしょうか」
誰、頷かなかった。
会議の奥、座にいた物がゆっくりちがった。
逆で見えなかった顔がらかになる。
誠治は、そので直した。
そこにいたのは、妻の兄、直だった。
実で見る気さくな装ではない。仕ての良いスーツを着こなし、役員たちより奥の席から歩いてくる。
「どうして、あんたがここにいる」
混乱のあまり、誠治は会社であることも忘れて声を荒げた。
兄は表を変えず、名刺を1枚、テーブルへ置いた。
「座りなさい、瀬君」
名刺には、会社のロゴと肩が印刷されていた。
取締役専務。
誠治の顔から、みるみる血の気が引いた。
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「なぜ、あんたが……」
「君が毎通い、そして妻の実を見しながら働いていたこの会社は、私たちの父が創業したものだ。私は父のを継ぎ、経営に携わっている」
そのを理解した瞬、誠治は子ので背を丸めた。
自分が貧しいだと嘲ってきた族から、毎料を受け取っていたのだ。
事部がファイルをいた。
「瀬君。昨提した弁には、な虚偽が含まれている。君は佐藤材からの入について、妻の実の借を肩代わりしたと主張したね」
誠治は慌てて顔をげた。
「そうです。私は妻の族を助けるため、やむを得ず――」
「黙りなさい」
法務担当の声が、言い訳を断ち切った。
型モニターに、誠治の隠し座の写しが表示された。
隣には、私が10つけ続けた帳の記録が並んでいる。
「この座への入記録と、佐藤材の帳簿にある正な支記録は致している。を引きしたも、妻が記録していた帰宅と致している」
兄が静かに説した。
「妻の実へ送したという記録は、どこにもしない」
続いて、誠治が取引先と会した、酒をんで夜に帰宅した、族へ暴言を吐いたが示された。
誠治はモニターに映る私の文字を凝した。
かつて彼が、暇な専業主婦の無な記録だと笑った帳だった。
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「違う。何かの違いだ。俺は会社のために、取引先との関係を築いて――」
営業本部がややかに言った。
「個な癒着を、会社のための関係構築とは呼ばない。自分の利益のために会社を利用し、発覚を免れるため妻の族を侮辱した。な背任為だ」
誠治は俯き、両で顔を覆った。
しかし、追及は終わらなかった。
兄は、父が7にいたの写しをテーブルへ置いた。
「君は7、顧客報を持ちすというな過失を犯した。本来なら、あの点で懲戒解雇だった」
誠治がゆっくり顔をげた。
「あの問題は、俺が解決した」
「違う」
兄の声はたかった。
「当の社であった父が、自ら代表取締役を退くことで君の責任を引き受けた。娘が選んだ夫の未来を奪いたくないと、役員会でをげたんだ」
誠治の唇が震えた。
「そんなはずはない」
「君は父の決断を、無能な経営者が責任から逃げたのだと周囲へ話していた。自分を会社の危を救った英雄のように語っていたな」
父の力い文字が、誠治の過を根底から否定していた。
「父は君を信じようとした。その優しさを踏みにじり、柄へすり替え、会社を欺き、私の妹を傷つけ続けた」
兄は誠治をまっすぐ見据えた。
「これ以、この会社に君の居所はない」
事部が処分通を読みげた。
「瀬誠治君。
本付で懲戒解雇とする。退職は支しない。会社へ与えた損害については、法措置を検討する。私物をまとめ、直ちに退しなさい」