"喪服の離婚届" 第2話
夫の自尊を守るため、私は父の会社との関係を伏せてきた。照代の世体を守るため、自分のを押し殺してきた。
けれど、彼らが求めていたのは妻でも族でもない。
文句を言わず働き続ける、都のいい嫁だった。
その夜、仏壇の鈴がくで鳴ったような気がした。
私ので、く張り詰めていた細い糸が、音もなく切れかけていた。
翌朝、照代は曜の親戚の集まりについて、当然のように指示をし始めた。
「親戚は昼に着くそうよ。お寿司は特を数分頼んでおいて。それから、お茶菓子も忘れないでね」
私は噌汁をよそいながら頷いた。
「分かりました。今に配しておきます」
「代は、あなたの貯からしておいてちょうだい」
わずが止まった。
「私の貯からですか」
「当たりでしょう。普段、このでご飯をべているんだから、親戚の集まりくらい嫁が負担するのが筋よ」
誠治は自分の収入をすべて管理し、私は毎、決められた活費しか受け取っていなかった。
そこから節約して残したわずかなおも、こうして瀬のために消えていく。
私にとって切な父の法事は許されない。それなのに、瀬の見栄のためには、自分の貯を差しさなければならない。
その理尽が、静かにを削っていった。
午、所の商へ買い物にると、顔見りの百の奥さんが笑顔で声をかけてきた。
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「由佳さん、曜は変ね。照代さんから聞いたわよ。親戚が勢集まるんでしょう」
「ええ、まあ」
曖昧に答えると、奥さんはしたように頷いた。
「照代さん、あなたのことを褒めていたわ。うちの嫁は本当に気が利いて助かるって」
私は買い物籠の持ちをく握った。
のでのたい扱いと、で演じられる派な姑の姿。その落差が、私をさらに孤独な所へ追い込んでいく。
誰も、私が父の法事へくことを禁じられているとはらない。
たとえ相談したとしても、照代さんにも悪気はないのよ、と片づけられるだけだろう。
へ戻った私は、午から誠治のワイシャツにアイロンをかけていた。
クリーニングへすスーツのポケットを確認すると、ズボンのポケットから、さく折り畳まれたレシートがてきた。
捨てるつもりで広げた瞬、線が止まった。
級の名と、5万円を超える支払額。
付は、誠治が「若社員の相談に乗る」と言って遅く帰った先週の曜だった。
さらに、レシートの裏には青いボールペンで文字がかれていた。
――佐藤材、紹介の件、確認済み。
佐藤材は、父の会社と取引を続けているな業者だった。
なぜ、営業社員にすぎない誠治が、個に紹介料の確認をしているのか。
胸の奥に、黒くい疑が広がった。
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そのとき、スマートフォンが震えた。
兄の直からだった。
私はアイロンの源を切り、自分の部へ移して扉を閉めた。
「お兄ちゃん、どうしたの」
『由佳、今、し話せるか』
「丈夫。お義母さんは買い物にているから」
兄はし黙り、やがてい声で言った。
『実は、誠治さんのことで社内調査がんでいる』
私は息をみ、ののレシートを握りしめた。
『取引先への過剰な求だけじゃない。会社の名を利用して、個な銭を受け取っている疑いがている』
レシートの裏の文字が、嫌な音をてて兄の言葉とつながった。
『由佳。おはもう、彼を庇わなくていいんじゃないか』
兄の声には、妹を案じる温かさがあった。
『父さんが彼を採用したのは、おの夫だったからだ。でも、彼のやっていることは父さんの会社を裏切る為だ』
これまで私は何度も兄に頼み、誠治への処分を待ってもらっていた。
いつか自分の過ちに気づき、ち直ってくれると信じたかった。父が与えてくれた会を、私ので奪いたくなかった。
「もうしだけ待って。私が、ちゃんと話をするから」
『分かった。ただし、もうはくないぞ』
話を切ったも、私はしばらくけなかった。
夕方、照代は級菓子のきな袋をに帰ってきた。
「親戚への引き物は、これにしたわ。
これもあなたの貯からしておいてね。