"梅の下に眠る不動産王" 第12話
になって彼は、こう話している。
「根が、ちょうどを抱えるみたいに伸びていたんです。無理にすのが、何だか痛いような気がしました」
遺骨のそばから、油に何にも包まれたが見つかった。
9くのにあったが、文字を読むことができた。
静の字で、こうかれていた。
「崎清 昭1345まれ 平成7314没 56歳」
戸籍、宇井源郎は68歳で失踪していた。
だが静は、56歳といた。
崎清としての、本当の齢だった。
因の鑑定には2かをした。
蓋骨の内部には、脳血を起こした痕跡があった。骨折も争った形跡もなく、殺を示すものは何もなかった。
1の男が玄関で倒れ、そのまま命を終えた。
ただ、それだけだった。
静は体遺棄罪で起訴された。
裁判が始まると、9に産王の失踪を報じた記者たちが再び法廷へ集まった。
静は証言台にち、全てを認めた。嘘も言い訳もなかった。
弁護が尋ねた。
「なぜ、警察へ届けなかったのですか?」
「主が、そう望んだからです」
「9、どのような気持ちで過ごしていましたか?」
静はしばらく黙り、答えた。
「毎朝、をやりました。それだけです」
検察官がちがった。
「あなたは9、社会を欺き、くの捜査員にを費やさせました。そのことを、どう考えていますか?」
静はまっすぐ検察官を見た。
「申し訳ないとっております。
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毎、っておりました」
「では、なぜ名乗りなかったのですか?」
法廷が静まり返った。
静はしばらく答えなかった。
やがてをいた。
「名乗りれば、あのは宇井源郎に戻ってしまうからです」
検察官は次の質問をしなかった。
しばらくったまま静を見つめ、何も言わず席へ戻った。
判決は、そのの暮れに言い渡された。
懲役16か、執猶予3。
裁判は判決理由ので、体を届けず期隠した為と、な捜査資源を費やさせた責任は軽できないと述べた。
しかし、面から顔をげ、言葉を続けた。
「被告に殺そのの犯罪為は認められない。被告は齢であり、9たった1で秘密を抱え続けた。そのに受けた精神苦痛も、決して軽いものではない」
静は被告席で、をげたまま判決を聞いていた。
遺骨は、その、久保沢町へ運ばれることになった。
そのに必だったのは、戸籍の訂正だった。
1949にき換えられた記録を、55ぶりに正す。役所の窓では判断できず、庭裁判所の許を得るまで半くかかった。
2005の。
戸籍ので、崎清は56ぶりに戻ってきた。
その隣の欄では、崎源郎が7歳のまま、静かに眠り直した。
4、久保沢町の田にはが張られていた。
田植えの面にくのが逆さに映り、頂に残るがく揺れていた。
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共同墓の番奥に、2つの墓が並んでいた。
1つは古いさな墓だった。
「崎源郎 昭231221没 7歳」
その隣に、同じきさ、同じ形、同じさのしい墓がっていた。
は、静が「隣の墓と同じにしてください。きくしないでください」と頼んだのだと話した。
しい墓には、名だけが刻まれていた。
「崎清」
会社名も、肩も、産王という呼び名もなかった。
納骨のはよくれていた。
集まったのは10ほどだった。
静、社代子、駐巡査の、町の老たち。そして休暇を取って京から来た志垣達夫。
静は喪を着て、両に2つの束を持っていた。
最初に古い墓のへち、を供えた。膝をつき、いをわせた。
誰も声をかけなかった。
やがてちがると、隣のしい墓へ同じようにを供えた。同じ、をわせた。
そして2つの墓のにった。
静は古い方の墓へ向かい、さな声で話しかけた。
「源郎さん」
ちょうどが止み、そのにいた全員へ声が届いた。
「お兄さんが、やっと来ましたよ」
志垣はの方へ顔を向けた。
誰かに自分の表を見られたくなかった。
残がのを受け、くっていた。
駐巡査のは子を取り、胸へ当てた。社代子は、その隣で父の黒い帳を抱きながら泣いていた。
式が終わると、皆はしずつ墓をれた。
志垣は最まで残った。
2つの墓のにち、コートの内ポケットから1枚の写真を取りした。