"梅の下に眠る不動産王" 第5話
「なお、通報者は本108に。帳は久保沢駐所にて保管」
報告は県警本部から警庁へ送られた。
警庁のでは、未解決事件に関する報としていくつかの部署を回された。当の捜査本部はとっくに解散しており、正式な担当者は誰も残っていなかった。
最終に、そのは過の未解決事件資料を管理する係へ届けられた。
200311の初め。
その部署に、54歳になった志垣達夫がいた。
窓のない資料で、志垣は毎、段ボール箱をけていた。
古い類を確認し、目録を作り、再び箱へ戻す。体を壊したことが現をれた直接の理由だったが、それだけではないと本は分かっていた。
そのの午、内線話が鳴った。
「志垣さん、そちらに形からの類が回っているでしょう。1995の宇井源郎の件です。のため目録へ追加してください」
志垣は受話器を持ったまま、机のへ目を向けた。
未理の類の。その番に、いが1枚載っていた。
老がみ、しさなければ文字が読めない。志垣はを引き寄せ、目を細めた。
「314午 宇井源郎 朝に来る。崎の墓にて。声かけず」
の蛍灯が、わずかな音をてていた。
話の相が何かを話していたが、志垣のには入らなかった。
8ぶりに、その名を見た。
臓が静かに、しかしはっきりとく打った。
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314。
失踪が発覚した、まさにそのの午である。
その朝、志垣たちはの会でえた茶と老鏡を見ていた。同じ頃、宇井源郎は形の墓にっていたことになる。
志垣は机の引きしをけ、奥から古い写真を取りした。
8、そこへ入れ続けていた会の写真だった。
老鏡。聞。えた茶。
写真と報告を並べた、初めて疑問が確な形になった。
なぜ、この男は墓のにっていたのか。
京に50棟のビルを持つ男が、なぜ聞いたこともない形のさな町で、のの墓を見ていたのか。
「崎」という姓は、8の捜査で度もてこなかった。
志垣は次休暇を4分取り、1118の朝、京駅から形へ向かった。
幹線をり、2両編成の古い来線へ乗り換えた。焼けしての変わった座席に座り、窓のを流れる田畑とを見つめた。
1ほどり、久保沢駅へ着いた。
改札に駅員はいなかった。切符を箱へ入れてへると、たい空気が頬に刺さった。
駅から400メートルほど、1本のに商が続いていた。半分くのがシャッターをろし、あせた板だけが残っていた。
薬局のに緑の公衆話が置かれていた。
志垣はを止め、その話を見た。8、社代慎介はこうした話から京へかけたのだろうか。
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社代子の実は、商からしれた所にあった。
庭には根が縄で吊るされ、い列がに揺れていた。通された座敷では油ストーブが燃え、に置かれたやかんが静かに湯気をてていた。
「わざわざ京から」
子は茶を差ししながら、戸惑ったように言った。
「こちらこそ、突然申し訳ありません」
志垣は湯呑みを両で包んだ。えた指に、温かさが染み込んでくる。
「刑事さんは、あの事件を担当していた方なんですか?」
「8に。今は資料を理する部署にいます。正式な捜査ではありません。休みを取って来ました」
子は驚いた顔で志垣を見た。
しばらくしてちがると、隣の部から黒い帳を持って戻ってきた。
「駐所では写しを取ったからと、返してくださいました」
志垣は帳を受け取り、ざらついたを1枚ずつ丁寧にめくった。
牛が逃げた記録。切れた灯。のにもらった飴のい。
そして19953のページでを止めた。
写しで見るのとは印象が違った。そのだけ、のページより字が乱れ、圧がかった。
「父は、京の会社の会がなぜこの町の墓にっているのか、議で仕方なかったようです」
子が静かに話し始めた。
「崎さんというは、もうこの町にはないんです。ずっと昔にていったで、父も私も崎さん本には会ったことがありません」
「では、なぜ崎の墓だと分かったのですか?」
「墓にいてあります。