"梅の下に眠る不動産王" 第3話
「のあるが100いる事件は、のない事件と同じなんだよ」
捜査本部の係が、ぬるくなった缶コーヒーを片に呟いた。
になると、刑事たちは宇井が所するビルを1棟ずつ調べた。、、倉庫、械まで確認し、摩川の川敷も歩いた。
何も見つからなかった。
になると報は消え、世は別の事件へ関を移した。半、数いた捜査員は5まで減らされた。
志垣は残った5のうちの1だった。
毎、宇井の関係者名簿をめくり、2度目、3度目の聞き込みへ向かった。しかし返ってくる答えは、いつも同じだった。
「その話は、にもしました」
1997の、失踪から2が経った。
捜査本部は実質に解散し、類は段ボール箱へ詰められて倉庫へ運ばれた。そのし、志垣は最にもう1度だけ世田のを訪ねた。
柱は以と同じように磨かれていた。庭の梅も、2と変わらずいを咲かせていた。
静は玄関先で応対したが、志垣をのへは通さなかった。
「何も展がありません。申し訳ありません」
志垣がをげると、静は穏やかに首を横に振った。
「刑事さん、もういいんですよ」
「いえ、まだ2です」
静は庭の梅へ目を向けた。
「2待ちました。もう分です」
まるで2という期が、最初から決められていたかのような調だった。
そのの、志垣は捜査1課から別の部署へ異になった。
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遷ではないと司は言ったが、何もつかめなかった刑事がどう扱われるか、志垣自が番よく分かっていた。
そのも何度か部署が変わった。
平成という号が10を超えた頃、世のはい況の底をっていた。志垣は詐欺や窃盗事件を追い続け、そのうち体を壊して現をれた。
だが、机の引きしの奥には、いつも1枚の写真を入れていた。
失踪当に自分で撮した会の写真だった。
老鏡。聞。えた茶。
に何度か写真を取りして眺めるたび、静が障子の桟を指でなぞった姿をいした。
「あのは、帰ってこないかもしれません」
なぜ、あのそう言ったのか。
答えのないまま、8が過ぎようとしていた。
200310、形県の内陸部に、久保沢町というさな町があった。
とに挟まれた細い盆の奥にあり、は4000をし回っていた。駅に300メートルほどの商が続き、その先には田畑としかない。
稲刈りは9の終わりに済んでいた。切り株の並ぶ田に細いがり、の頂はいに隠れていた。
そののを、1台の軽トラックがゆっくりとっていた。
3の108、町の元駐巡査だった社代慎介が82歳でくなった。
病院のベッドではなく、自宅の布団ので族に見守られながら迎えた静かな最期だった。
社代は久保沢町の駐所に27勤めた警察官である。
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子供の頃に自転の乗り方を教わり、になると酒のみすぎを叱られ、を取ってからは端で世話をする。
町のにとって、社代は警察官というより、町の景の部だった。
葬儀にはの、300くが集まった。4000に満たない町で300という数が、社代というをそのまま表していた。
葬儀の、娘の子は遺品の理を始めた。
母親は10に先にくなっていた。子は隣のへ嫁いでいたが、父が老いてからは週に2度、様子を見に通っていた。
社代のは、駐所を退職したに建てたさな平だった。
番奥にある3畳ほどの物置部に、古い箱が3つ積まれていた。子はそのうちの1つを引き寄せ、埃を払いながら蓋をけた。
にはの束がぎっしり詰まっていた。
父が駐所にいた頃の記録の控えや、正式な類にするほどではない個な覚えきだった。
「田の利につき組と組が論。双方酒をすと言うので断る」
「学裏の空きに3名。煙。親を呼ぶ」
「井の牛1逃。夕方までに発見」
太く、しがりの実直な字だった。
牛が逃げたことまでいているのかとうと、子の目の奥がくなった。何でもいておかなければ気が済まないだった。
3つ目の箱の底に、黒い成皮革の帳が1冊入っていた。
角が擦り切れ、い芯が見えている。