みかん小説
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"捨てた妻の春" 第8話

「でも、ママを傷つけたことは仕方がないとはいません」

その希望が消えた。

「ママは1で僕を産んで、1で育てました。夜も仕事をして、僕が病気のもずっとそばにいてくれました」

は隼を真っ直ぐ見つめた。

「あなたは僕の父親かもしれない。でも、僕のお父さんではありません」

「お父さんというのは、子供がまれたことをったからなるものじゃないといます。毎緒にいて、守ってくれたがなるものです」

の目から、初めて涙が落ちた。

私は隼が泣く姿を、結婚していた5にも見たことがなかった。

「やり直す会をくれないか」

は震える声で言った。

しずつでいい。君のことをりたい。失ったを取り戻したい」

は静かに首を横に振った。

は取り戻せません」

その言葉は、私が言うよりも遥かにく隼へ突き刺さった。

「ママに謝ってください」

は私の方を向いた。

「静……すまなかった」

私は黙って彼を見た。

「君がどれほど傷ついたのか、何も分かっていなかった。自分の都しか考えていなかった」

「そうですね」

「許してほしいとは言わない。ただ、本当に……」

は言葉を続けられず、げた。

はその姿を見届けると、子からがった。

「帰ろう、ママ」

私はを握った。

る直、隼が呼び止めた。

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。私は、君のために何ができる」

は振り返った。

「これ以、ママを困らせないでください」

それが、息子から父親へ向けられた最初の願いだった。

麗華は隼との婚を求めた。

卒業式で自分が公衆の面で恥をかかされたこと、隼が自分との再婚を急ぐ方で妻を妊娠させていたこと、そして隠し子のが報されたことに耐えられなかったらしい。

は、麗華との婚協議にはほとんど抵抗しなかった。

彼にとって麗華は、追い続けた初恋の女性だった。

その女性と結婚するために、私との5を切り捨てた。けれど12、彼がに入れたはずのは崩れ、切り捨てた側にいた息子から父親ではないと告げられた。

、隼は1で写真スタジオ「」を訪れた。

私は仕事でしており、受付にいたスタッフが彼を客だとって案内したという。そのは、スタジオの角で私のさな作品展をいていた。

展示の題名は「」。

そこには、まれてから12歳になるまでの写真が並んでいた。

まれた直、私の指を握るさな

初めて寝返りを打ち、驚いた顔。

の周りをだらけにして笑う姿。

した夜、私の胸で眠る横顔。

初めてがった

保育園の入園式。

歯が抜けた顔。

ランドセルを背負ったの入学式。

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会で転び、膝を擦りむきながらも最までった姿。

私のスタジオで封筒へ写真を入れる幼い

12が、壁面に並べられていた。

は、1枚ずつをかけて見たという。

写真のには、撮した付とい言葉が添えられていた。

「初めてママと呼んだ

がった朝」

「父のの絵を描けず、1で泣いた夜」

その1枚ので、隼ち止まった。

写真のは5歳だった。

周りの子供たちが父親の絵を描くだけがに俯いていた。その夜、は私へ、父親の顔をらないから描けなかったと話した。

は写真にを伸ばしかけ、触れる直で止めたという。

50億円を寄付できる男でも、過ぎった1を買い戻すことはできない。

どれほどを積んでも、が初めて歩いた瞬を見ることはできない。

どれほど悔しても、したを抱きげることはできない。

入学式で隣につことも、父のの絵を描けずに泣いた息子を慰めることもできない。

が数った残酷な真実は、が自分の息子だったということだけではなかった。

自分がらなかった12にも、は止まることなく続いていた。

そして、その全てのから自分だけが消えていたということだった。

がスタジオを、受付のスタッフへさな封筒を預けた。

には、私宛てのが入っていた。

へ。

を取り戻せないというの言葉が、ようやく分かりました。

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