"喪服の隠し子" 第1話
「ああ、そういうことだったのか」
義実の庭をくから覗き込み、そこにいる女性と幼い子供の姿を見た瞬、私は声を失った。のに散らばっていた疑問が斉につながり、妹の夫とその族が何もの、どんな顔で妹を騙していたのかを理解してしまった。
胸の奥から、りともしみともつかないいものが込みげてくる。
あのたちは、妹ので何度平然と笑ったのだろう。妹が体調を崩すたびに、配するふりをしながら、では何を願っていたのだろう。
「絶対に許さない」
私は物にを隠したまま、震える唇を噛んだ。
「何があっても、あなたたちだけは許さない」
あのから、すでに15が過ぎている。
私の名はサチ。45歳になった今、久しぶりに冠婚葬祭用の黒いを着ようとしたところ、腹の辺りでファスナーが止まってしまい、鏡のでを抱えていた。
見た目は昔とそれほど変わっていないつもりだった。それでも、は正直だった。表面からは分かりにくいだけで、確実に内臓脂肪が蓄えられているらしい。
このを初めて着たのは、私が30歳のだった。
幼い頃から臓がかった妹のユキが、27歳でくなったである。
ユキは肺炎をこじらせ、最には全を起こした。奇しくも、そのたまたま病へ見いにっていた私が、妹と最に言葉を交わしたになった。
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結婚してまだ2目だった。
ユキには、これから夫と緒にやりたいことがいくつもあったはずだ。自分がこんなにもくを終えるなど、本も像していなかっただろう。
くなるし、ユキは窓のを眺めながら笑っていた。
「退院したら、葉を見にきたいな」
細い指を掛け布団のでね、の景をい浮かべるように目を細めていた。その笑顔をいすだけで、今でも胸の奥が締めつけられる。
私は最の妹を失った現実を、ほとんど受け入れられないまま葬儀のを迎えた。
斎には親族や友が集まり、皆が沈んだ顔で祭壇のユキを見つめていた。妹の夫であるタクも、喪主として神妙な顔を作り、弔問客へ何度もをげていた。
タクの両親も参列していたが、妹のをからしんでいるようには見えなかった。隙があれば携帯話を見たり、親族同士で声の会話を交わしたりしている姿に、私はし違を覚えていた。
ただ、ユキと義両親はくにんでいながら、ほとんど交流がなかった。付きいがければ、しみ方も私たちとは違うのだろうと、そのは無理に納得しようとした。
読経が始まるし、私は化粧へ向かうため席をった。
涙をこらえ続けていたせいでがく、しだけ1になりたかった。
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廊を歩いていると、休憩所の方から聞き覚えのある声がした。
タクだった。
柱のから見ると、タクは周囲を気にするように背を丸め、携帯話をへ当てていた。葬儀の最だというのに、その話し方はひどく砕けていた。
「葬儀が終わって、49まで済ませればしは落ち着くとうよ」
私はを止めた。
普段なら、の話に聞きをてることなどしない。しかし、タクが話しているのがユキのことだと分かり、無識に呼吸を抑えていた。
「そうだな。いや、さすがに1周忌までは、おとなしくしておいた方がいいかも」
おとなしくしておく。
その言葉が妙に引っかかった。
誰と話しているのだろう。職のにしては親しすぎるし、義理の族は全員この斎にいる。
私が柱のでけずにいると、タクは声をくした。
「待たせてごめん。うん、分かってる」
度周囲を見回した、タクはさく笑った。
「子供は丈夫だ。バレてない」
を疑った。
「まさか俺に子供がいるなんて、嫁もこのの連も気づいてないよ。おはそのままでゆっくりしてて」
私はわず壁へをついた。
今、子供がいると言ったのか。
ユキとタクのに子供はいない。ユキの臓が産に耐えられるか分からなかったため、2は話しったで、子供を作らないことを選んでいた。
互いに初婚だと聞いていた。タクに別の子供がいるという話など、私たち族は度も聞いたことがない。