"兄の嘘、妹のリボン" 第9話
学に兄の名がなかったことを話し、本当はどこで何をしているのかと尋ねた。
幸はっていなかった。
「お父さんとお母さんに本当のことを話そう。緒に謝れば、きっと分かってくれるよ」
そう言って、拓也へを差し伸べた。
しかし拓也にとって、その言葉は救いではなかった。
名学の学という嘘がらかになれば、両親から受け取ったも、偽造類も、周囲へ語ってきた経歴も全て崩れる。恋や企業のから向けられていた信頼も失う。
幸が善で真実を話そうとすることが、拓也には何よりも恐ろしかった。
事件当、拓也は図館の席をへ任せ、学証を預けて故郷へ戻った。幸がしてへ帰るをっていたため、自宅くので待った。
幸は兄の姿を見ると、警戒せずにづいてきた。
には、誕プレゼントの箱があった。
「お兄ちゃん、これ……」
幸は兄を責めるためではなく、贈り物を渡すためにづいた。
そので拓也は、学のことを両親へ話さないよう頼んだ。しかし幸は、これ以嘘を続ける方が兄のためにならないと答えた。
「緒に話そう。私もそばにいるから」
拓也は追い詰められた。
幸がへ帰れば、両親へ話してしまうかもしれない。これまで築きげた全てが壊れるという恐怖に支配され、妹の腕を掴んだ。
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幸がを引こうとした、プレゼントのリボンが拓也の指へ絡んだ。
拓也はの暗がりで幸を押さえつけた。
相が兄だったため、幸は逃げるのが遅れた。何が起きているのか理解できないまま、兄の顔を見つめていた。
拓也は、取り返しのつかないことをした。
その、現に残る痕跡をできる限り消し、急いで駅へ向かった。プレゼントを幸のに残したまま、京へ戻った。
夕方、学へ戻って記録を残し、何事もなかったように振るった。
夜になって妹のをらされたふりをし、始発の幹線で戻った。のので泣き崩れ、チラシを配り、民と緒に犯を捜した。
「どうして、4も平気でいられた」
伊がい声で尋ねた。
拓也はい沈黙の、顔をげた。
「疑われないようにするには、誰よりもしむしかなかった」
その言葉を聞いた伊は、しばらく拓也から目をすことができなかった。
取り調べのでは、幸子が事を聞いていた。
娘を殺したのは、らない物でも、科のある男でもなかった。族が最まで信じ、唯の希望だとっていた息子だった。
幸子はそので崩れ落ちた。
娘を失った4の夜に続き、もう度、自分の子供を失ったような覚に襲われた。夫も真実をると、何も言えないまま仏壇のへ座り込んだ。
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拓也の起訴が決まると、幸子は息子の減刑を求める嘆願には署名しないと決めた。
母親としては、を引き裂かれるような選択だった。
それでも、幸の無をにして息子を守ることはできなかった。最まで兄を配していた娘のため、幸子は真実から目を逸らさないを選んだ。
は証言を変えるためにを受け取った為について責任を問われた。渡辺も、偽造類の作成や脅迫、銭の求に関与したとして司法続きへ送られた。
拓也を取り囲んでいた嘘の関係は、1つずつ崩れていった。
裁判で弁護側は、事件が突発なものであったと主張した。しかし検察は、図館のアリバイ作、故郷までの移、犯に京へ戻った、4にわたる偽装を順番に示した。
学歴の嘘を守るため、妹の帰宅を把握して故郷へ戻ったことにも計画性があると指摘した。
法廷にった拓也は、以のような完璧な青には見えなかった。
名学の学という肩きも、妹いの派な兄という姿も失われていた。ただ自分の嘘を守るために、最も信頼してくれた妹の命を奪った1の被告としてっていた。
判決が言い渡される、拓也は俯いたままかなかった。
全てが終わった、伊は4証拠品として保管されていた誕プレゼントを幸子へ返した。
「遅くなってしまいました」
伊は箱を両で差しした。
「申し訳ありません」
幸子は首を横へ振り、リボンのついた箱を胸へ抱いた。