"兄の嘘、妹のリボン" 第1話
201411旬の夜、再発予定に指定された宅は、普段よりもい静けさに包まれていた。がまなくなったが増え、細いには古い塀と空きのばかりが並んでいた。
に残されていた灯は、先ほどから規則に点滅していた。いがついたり消えたりするたび、排溝の脇に積もった落ち葉が、に吹かれてかすかに揺れた。
域の防犯ボランティアをしていた田は、懐灯をにを歩いていた。民が減ってから審者を見たという話が増え、夜になると決まったを見回るようにしていた。
そのも何事もなく見回りを終えるはずだった。ところが、灯が完全に消えた直、田が向けた懐灯のが排溝のそばで止まった。
暗のに、制のスカートの裾が見えた。
田は息をのみ、急いで駆け寄った。そこには女子が、体を折り曲げるようにして倒れていた。
「丈夫か。聞こえるか」
田は女の肩へを伸ばしたが、反応はなかった。たい空気ので、その体からすでに温もりが失われていることが、触れた指先から伝わってきた。
震えるで携帯話を取りし、田は警察と救急へ連絡した。通話をしながらもう度女へ目を向けた、く握られたにさな箱があることに気づいた。
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箱は淡いの包装で包まれ、細いリボンが丁寧に結ばれていた。表にはさなカードが添えられていたが、夜に濡れ、文字の部が滲んでいた。
それでも、かれていた言葉は読み取れた。
「お兄ちゃん、お誕おめでとう」
女は識を失ったも、その箱だけは放さなかったように見えた。指は固く曲がり、誰かに渡すはずだった贈り物を守るように、胸のくへ抱き寄せていた。
ほどなくして、狭いへパトカーと救急が到着した。赤と青の警灯が交互に々の壁を照らし、音を聞きつけた民たちが窓や玄関からそうに顔をした。
救急隊員は女の状態を確認した、静かに首を横へ振った。
通報を受けて現へ来た捜査1課の伊啓介は、規制線をくぐると、まず全体を見回した。倒れていた女の位置、排溝、灯、周囲のの窓を順番に確認し、最にの突き当たりへ線を止めた。
そこには、灯のついた軒があった。
現からは、わずか100mほどしかれていなかった。に確認されたところ、そのこそがくなった女の自宅だった。
伊は女が歩いてきたとわれるを振り返った。自宅のかりが見える所まで戻ってきながら、彼女は最の100mを歩き切ることができなかった。
元はすぐに判した。
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幸、17歳。くのへ通う2だった。
連絡を受けた母親の幸子が現へ駆けつけると、規制線ので娘の名を何度も呼んだ。警察官に支えられながらづいた幸子は、に横たわる娘の制を見た瞬、から力を失った。
「幸……どうして……。もうすぐ帰るって言ったじゃない」
伊がそばへしゃがむと、幸子は震えるで携帯話を差しした。画面には、娘から届いた最のメッセージが残っていた。
「お兄ちゃんの学に遊びにくね。夜にまたね」
送信された刻と、推定された刻の差は約40分だった。娘は母親に帰宅を告げ、いつものようにへ戻ろうとしていた。
現では鑑識作業が始まったが、結果は捜査員たちを困惑させた。周囲には激しく抵抗した形跡がなく、鞄や所持品にも盗まれたものは見当たらなかった。
被害者本のものを除き、確な指紋も発見されなかった。現は自然なほどっており、誰かが静に痕跡を残さないようしたとしかえなかった。
司法解剖の結果、因は首をく圧迫されたことによる窒息と判した。さらに、幸は相と顔をわせた状態で、正面にい位置から押さえつけられた能性がいと判断された。
背から突然襲われたのではない。
幸は相の姿を見ても逃げようとせず、すぐそばへづくことを許していた。
つまり犯は、彼女が警戒する必をじなかった物だった能性がかった。