"夕焼けの後継者" 第4話
劇ので、満は制御盤のカバーをした。
複雑に絡みった線が、懐灯ののに現れる。般な配線方法ではなく、回と回のに、特殊な周波数信号を分配する構造が組み込まれていた。
企業の技術者たちがを引いたのも無理はなかった。
満の懐灯のが、1本の配線ので止まった。
彼はへ膝をつき、父のノートをいた。そこに記された回図と、目のの制御盤を何度も見比べる。
1度。
2度。
3度。
満のからノートが滑り落ちた。
制御盤の配線構造が、父のノートにかれた図面と寸分違わず致していた。
「どうしたのですか」
斎藤がろから歩づいたが、満には聞こえていなかった。
ので、幼い頃に何度も聞いた父の声が蘇っていた。
「満、これはな、父さんが世界でただ1だけっている方法なんだ」
満はノートを拾いげ、へ広げた。懐灯をに咥え、両を制御盤の奥へ入れる。
細い線と太い線が複雑に交差していた。般な設備なら、満は目を閉じていても故障箇所を探せる自信があったが、この構造は父から教えられた特殊な順でなければかせない。
まず周波数信号を分し、各照回へ正しい順番で接続する必があった。
「それ以壊した、責任を取れますか」
斎藤のたい声がんできた。
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満は答えず、1本ずつ線を確認していった。
父は力を失ったも、この方式だけは忘れなかった。満のを握り、指で空に配線を描きながら、何度も何度も教えた。
「この方法なら、どんな照システムでも必ず蘇る」
満は父の言葉を信じ、慎に作業を続けた。
方、窓のにつ総郎は、ポケットのの封筒へ指を触れていた。
健を追いした、総郎が息子を探そうとしなかったわけではない。1が過ぎる頃には悔に耐えられなくなり、密かにを使って捜索を始めていた。
だが帰ってくる報告は、いつも同じだった。
痕跡はない。
へ逃した能性がい。
総郎はらなかった。
その報告の全てが、拓也によって作られた嘘だったことを。
拓也は、総郎の親族であり、現は岡グループの副社を務めていた。健が継者として会社に入れば、自分の居所が失われると恐れ、30から父子のを引き裂いていた。
総郎が健を捜すたび、拓也はと権力を使って痕跡を消した。
さらに、健が台照の仕事を続けていることをると、作業の事故に見せかけて力を奪った。その事故さえ父が仕組んだのだと信じ込ませ、健をさらにくへ逃げさせた。
父は息子を捜し、息子は父からを隠した。
拓也だけが、そので30ち回り続けた。
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総郎は今も、健がきているのかんでいるのかさえらなかった。だが満の名と齢、そして所を見た瞬から、眠れない夜が続いていた。
劇の窓は、依然として暗い。
総郎は封筒をく握った。
結果が違えば、再び胸が引き裂かれる。
結果がっていれば、失われた30が度に押し寄せてくる。
どちらにしても、封をくことが怖かった。
その、劇の窓の向こうで細いが灯った。
最初は糸のようにさかったが、やがて窓全体を温かいへ染めていく。
夕焼けのだった。
が沈む直、空が最も赤く染まる瞬の。
30、健が劇を完成させた夜、両親を客席へ招いて初めて灯したものと同じだった。
「父さん、このはね、世界のどこにもない、僕だけのなんだ」
あのの健の声が、総郎のに蘇った。
ポケットのから引き抜いた封筒が、総郎のから滑り落ちた。
劇のでは、満が最の配線を繋ぎ終えていた。
暗に沈んでいた台へ、夕焼けのがゆっくりと広がる。ので埃の粒がい、のように輝いた。
満はちがることも忘れ、そのを見つめていた。
「夕焼けの照というものがあるんだ。父さんが若い頃に作った、世界で父さんだけがせるなんだよ」
にたこができるほど聞かされた言葉だった。
だが満は、実際にそのを見たことがなかった。
今、父が涯忘れられなかったが、目のに広がっていた。