"残り物少年の奇跡" 第12話
消防隊員は崩れた根材や瓦礫を取り除いていたが、作業はなかなかんでいなかった。
田神父が孝志へ駆け寄った。
「翔太君の声は聞こえます。ですが、い梁のに閉じ込められています」
孝志は濡れた面を踏みしめ、瓦礫のまでんだ。
「翔太!」
音の奥から、い声が返ってきた。
「佐藤さん……聞こえます。僕は丈夫です」
「どこが丈夫なんだ」
「し挟まれているだけです。の子供たちは無事でした。それが切です」
自分が瓦礫のにいながら、翔太はの無事を気にしていた。
消防隊が孝志のへた。
「梁をかすには特殊な材が必です。到着まで数かかるかもしれません」
「数も待てない」
「500kgを超える鉄骨です。にかせば、をさらに傷つけます」
孝志は建設業者として瓦礫の構造を見た。、建物の荷と支点を見続けてきた経験から、梁の片側をわずかに持ちげれば、翔太を引きせる隙がまれることに気づいた。
「この側から梁を持ちげれば、引きせる」
「佐藤さん、これはが持ちげられるさではありません」
孝志は返事をせず、瓦礫へづいた。元を確かめ、両を梁のへ差し入れた。
「翔太、今から助ける。もうしだけ待て」
「佐藤さんなら、来てくれるとっていました」
孝志は歯をいしばり、全へ力を込めた。
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つい数かまで半随だったがかせるさではなかったが、そのの孝志には、できるかどうかを考える余裕はなかった。
梁がわずかに浮いた。
周囲から驚きの声ががった。消防隊員たちはすぐに隙へ入り、翔太の体を引きした。
梁をろした孝志はそのに膝をついた。腕もも震えていたが、救急隊員に抱えられた翔太が識を保っているのを見て、ようやく息を吐いた。
翔太はと肋骨を負傷していた。救急へ乗せられる直、を伸ばし、孝志の袖をつかんだ。
「来てくれるって分かっていました」
「当たりだ。俺はいつでも、おを助けにく」
「佐藤さん。僕の仕事は、もうほとんど終わったといます」
孝志の顔が張った。
「どういうだ」
「もう歩けます。みたいにしくありません。輝さんも戻ってきました」
「そんなことを言うな。おは丈夫になる」
翔太は苦しそうにしながらも、穏やかに笑った。
「はい。丈夫です。でも、いろいろなことが変わります」
病院での検査の結果、肋骨の骨折との骨折が確認されたが、命に関わる怪ではなかった。医師は、あとし位置がずれていればい内臓損傷につながっていたと説した。
孝志は晩、翔太のベッドのそばをれなかった。輝が駆けつけ、その、恵子も病へ来た。
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「容体はどうなの」
「定している。はかかるが、完全に回復できる」
恵子は孝志の全を見た。
「あなたが梁を持ちげたと聞いたわ。そんなこと、能だったはずでしょう」
「分かっている」
「どうやったの」
「分からない。ただ、やらなければならないとった」
輝は眠っている翔太のそばへづいた。
「こうして見ると、本当にさいんだな」
「ああ。8歳の子供だ。い、くならざるを得なかっただけだ」
輝は父親を見げた。
「退院したら、へ連れて帰ろう。もう1で暮らさせちゃ駄目だ」
「本気か」
「もう僕の弟だとってる」
恵子も静かに頷いた。
「私も賛成よ。あの子には、本当の族が必だわ」
翌朝、翔太が目を覚ますと、孝志、輝、恵子、田神父、医師がベッドの周囲にいた。は眠そうに目をしばたたかせ、い笑い声を漏らした。
「パーティーみたいですね」
「気分はどうだ」
「し痛いです。でも、良くなりました」
恵子はベッドへづいた。
「翔太君。改めて謝りたいの。あなたを疑って、孝志が信じているものを信じなかった」
「謝らなくていいです。恵子さんは佐藤さんを配していただけです」
孝志は翔太のさなを握った。
「退院したら、俺と緒に暮らしてほしい」
翔太の目がきくかれ、やがて顔いっぱいに笑みが広がった。
「本当ですか」
「本当だ。おが望むなら」
「望みます」
輝がベッドの反対側からを乗りした。
「ただし、1つ条件がある」
「何ですか」
「俺のことを兄貴と呼ぶこと」