"51%の警備員" 第8話
議役の取締役がをこうとした、会議の扉がいた。
全員の線が入へ集まった。
そこにっていたのは、昨解雇された警備員だった。
アイロンをかけた古い背広。
履き込んだ革靴。
そして胸には、恵美が縫いつけた名札があった。
――川松蔵。
「警備員を誰が入れた!」
貴彦がちがった。
「今すぐつまみせ!」
しかし、誰もかなかった。
松蔵のろから、弁護士が入ってきたからだった。さらに信託の担当者と、社監査役が続いた。
弁護士は、分い類をテーブルへ置いた。
「成グループ株式51%を保する信託より、議決権使の通を申しげます」
会議が静まり返った。
「議決権の指図権者であり、信託の唯の受益者である川松蔵氏が、本の臨取締役会への席を求めています」
貴彦の唇が震えた。
「川……松蔵?」
昨まで警備員としか呼ばなかった老の名を、初めてにした。
社取締役の1が、慌てて資料を確認した。その顔から、みるみる血の気が引いていく。
信託。
51%。
幽霊株主。
12、度も姿を見せなかった株主の正体が、今、目のにっていた。
やがて1の取締役がちがった。
く腰を折る。
続いて、別の取締役もちがった。
監査役、常務、社取締役。会議にいた経営陣が次々と席をれ、古びた背広姿の松蔵へをげた。
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昨のロビーで、松蔵が何度も見せた姿と同じだった。
ただし、今度をげているのは松蔵ではなかった。
「川様。い、変失礼いたしました」
松蔵は彼らを責めなかった。
ゆっくりと座へみ、創業者の席として空けられていた子のにった。
貴彦だけは、座ったままけなかった。
顔はのようにくなり、目のの景を理解できずにいた。
松蔵は胸元の名札へ度を添えた。
30、警備員として名乗り続けた名。
会社を救うためにすべてを放し、のから社員たちを見守ってきたの名だった。
「私の名は、川松蔵と申します」
静かな声が、会議の隅々まで届いた。
「40、森夫と共に、この会社を作ったです」
貴彦の目がきくいた。
松蔵は子を引き、座へ腰をろした。
「昨、貴彦専務から、度とこの建物へ入るなと言われました」
誰も顔をげられなかった。
「しかし、ここは私と夫が、何もないところから作った会社です。社員を踏みつけ、会社のを自分のものにする者に、てけと言われる筋いはありません」
弁護士が、仙台売却と協力会社3社に関する資料を取締役たちへ配った。
松蔵は、正面に座る貴彦を見据えた。
「始めよう」
昨まで何度も腰を折り、「申し訳ございません」と言い続けていた老の背筋は、まっすぐに伸びていた。
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「臨取締役会を」
その瞬、森貴彦はようやく理解した。
自分が犬のように追いした老いた警備員こそ、成グループの運命を決めることのできる、本当の株主だったのだ。
会議の正面に設置された型モニターへ、弁護士が1枚目の資料を映しした。
そこには、成グループと取引を続けてきた3社の名が並んでいた。どれも設から数しかたっていないさな会社だったが、成グループから受注した額だけは異常にきかった。
「こちらの3社は、過4で計87億6000万円の取引を成グループとっています」
弁護士は、役員たちの顔を順番に見た。
「しかし従業員数、設備、資本のいずれを確認しても、これだけの業務を処理できる実態はありません」
貴彦は子からちがったまま、弁護士をにらみつけていた。
「くだらない。部の弁護士が経営にをすな」
「私は部のではありません」
弁護士は机のへ、もう1枚の類を置いた。
「信託から委任を受けた代理です。そして本、川松蔵氏の指示により、株主として調査結果を報告しています」
「そんなもの、正式な監査ではない!」
「では、正式な監査資料をご覧ください」
会議のろに座っていた社監査役がちがった。
普段は貴彦のでほとんど発言しない物だった。
しかし、そのには分いファイルが握られていた。
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