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"霧葬の山岳会" 第11話

「どういうことですか」

久保は、16閉じ込めてきた記憶を1つずつ解くように語り始めた。

「稜線へた直、ガスが急に濃くなりました。界は10mではなく、5mあるかどうかでした」

井と沢田は危険を避けるため、急きょ隊列を3組へ分けた。井、沢田、藤本は稜線をみ、酒井と久保は側の巻きへ向かった。

「そして井さんと真美さんは、側のいルートへ回されました」

久保の指がコーヒーカップの縁をくつかんだ。

「真美さんがいなくなった、井さんは彼女と2きりだったんです」

笠原は何も言わなかった。久保は両で顔を覆い、い声を続けた。

した井会に言われました。編成を変えたことは警察へ話さない方がいいと」

「井君が最に2きりだったとられれば、余計な疑いがかかる。事故なのは違いないのだから、全員で隊列を組んでいて、で見失ったことにしようと」

「それで、6が同じ証言をしたのですか」

「はい」

久保は涙をこぼした。

「私は若く、井さんを尊敬していました。沢田さんも藤本さんも賛成したので、従ってしまいました」

「でも16、何度もに見ました。本当に、ただの事故だったのかと」

笠原は研究幹線の帳をいた。い余へ、ゆっくりだけいた。

、真美と2きりだった物――井

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特別捜査本部へ戻った翌、笠原は16から証拠保管庫に残されていた赤いキャップを、科学捜査研究所へ再提した。当より歩した技術で、細部まで調べ直すためだった。

キャップの表面はあせ、縫い目にはと細かな砂が入り込んでいた。16の鑑定では、真美の所物であること以、何も分からなかった。

結果がるまで10かかった。報告を受けた笠原は、すぐに科学捜査研究所へ向かった。

「キャップ内側の汗止め布、その縫い目の奥から、ごく微量の血液反応がました」

担当者は写真と報告を机へ並べた。

「当の技術では検できないほどない量です」

笠原は資料へ目を落とした。

「真美さんの血液ですか」

担当者は首を横に振った。

真美さんの遺伝子型とは致しません。別です」

「性別は」

「男性です」

笠原はゆっくり息を吐いた。赤いキャップが崖際へ置かれた、真美以の男性が触れ、自分の血液を付着させた能性がてきた。

「井の任を求めます」

捜査本部では、井とした捜査が気にめられた。20148末、警察は正式に井を求めた。

指定された朝、井は自分で軽トラックを運転し、良警察署の駐へ現れた。いつもの作業着ではなく、しわの寄った紺を着ていた。

笠原が玄関で迎えると、井さくげた。

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抵抗する様子も、逃げようとする様子もなかった。

取調い蛍灯の、2は机を挟んで向かいった。井は最初の30分、ほとんどかなかった。

机のに置いた自分のを、じっと見つめていた。のささくれや塗料が染み込んだ、職だった。

笠原は急かさなかった。問い詰めることもせず、ぬるい麦茶の入った湯みを井へ置いた。

の隅では、若い警察官がボールペンを構えていた。壁の計の針が、2周ほどんだ。

突然、井の喉から押し殺したような音が漏れた。笠原が顔をげると、井は唇を震わせていた。

「笠原さん」

かろうじて聞き取れる声だった。

「16、待ちました」

は両く握った。

「本当はずっと、誰かに聞いてほしかった。本当のことを」

笠原は黙って頷いた。

はゆっくり顔をげた。目は赤く、頬は痩せこけて見えた。

「真美さんを、好きでした」

1から密かにいを寄せていたと、井は話した。岳会の集まりで、な自分にも真美が優しく声をかけてくれることを、特別なだと勘違いした。

1998、真美が婚約したことをった。翌4に結婚すると聞き、10が自分の気持ちを伝える最会だとい込んだ。

「せめて、いだけ伝えて諦めようといました」

線を落とした。

が濃くなり、井会が私と真美さんを2側の巻きかせました」

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