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"霧葬の山岳会" 第8話

浦は呼吸を止め、もう度慎に見た。

の骨だった。

浦はまず自分の全を確保し、ザイルを岩へ固定した。その、発信の緊急ボタンを押し、麓の警察と岳救助隊へ現位置を伝えた。

「岩の隙に、古い登靴と骨のようなものがあります」

無線を終えると、デジタルカメラで現を数枚撮した。証拠をかしてはいけないと考え、靴にも骨にも決して触れなかった。

3過ぎ、浦は無事に登りた。待っていた駐所の警察官へカメラを渡すと、警察官は液晶画面を覗き込んだまま黙り込んだ。

「この写真、署へ送らせてもらいます」

警察官は急ぎで駐所へ戻り、良警察署へ連絡した。当初は、何の遭難者の遺骨が見つかったのだろうと考えられていた。

アルプスでは、古い遭難者の骨がになって発見されることが珍しくなかった。だが報告をにした1の刑事が、古い類棚へ目を向けた。

刑事課係の笠原誠、41歳だった。の叩きげで、良警察署にく勤務していた。

16、まだ25歳の巡査だった笠原は、黒岩岳で女性会員が消えた事件の捜索隊に参加していた。を何も歩き、何も見つけられずにした記憶が、今もの底に残っていた。

麓の旅館でうずくまっていた子の姿。

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で、捜索隊員へ何度もげていた元蔵の姿。

そして毎10になると警察署へ届く、茶い封筒。笠原はしい封筒が届くたび、目につかないよう類棚から古い束を取りし、自分のねていた。

「遺骨が見つかったのは、黒岩岳の段と言ったか」

笠原は報告をした警察官へ確認した。

「はい。岩の隙に、古い女性用らしい登靴と緒にあったそうです」

笠原はしばらく類棚を見つめた。その子からがり、司の部へ向かった。

6204野県警岳救助隊、良警察署の刑事、遺骨収集の専を含むが黒岩岳の登へ集した。笠原は自ら捜索隊へ加わり、16ぶりにあのへ入った。

は険しい稜の段にあり、通常の捜索ではち入らないような所だった。隊員たちはザイルとハーケンを使いながら、1歩ずつ慎に岩壁をんだ。

830分、浦が示した点へ到着した。岩と岩のに、がうずくまるほどの暗い空があった。

苔に覆われた古い女性用登靴。その奥には、朽ちかけた寝袋の切れ端に包まれるように、骨が横たわっていた。

「全、残っている能性がいですね」

鑑識官がい声で言った。笠原はヘルメットので目を細め、たいが通り抜ける岩を見回した。

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16も、同じようなが吹いていた。あのが濃く、笠原は何度もこの付を見げていたはずだった。

だが遺骨があった所は、崖ではなかった。滑落したが偶然入り込むとは考えにくい、岩の奥まった空だった。

収集作業は慎められた。骨の1本、の繊維1本も見落とさないよう、隊員たちは刷毛とさな器具を使い、岩の隙まで丁寧に分けた。

遅く、すべての遺骨がい専用袋へ収められた。笠原は袋が運びされる様子を見ながら、拳をく握った。

、遺骨は良警察署の特別へ運び込まれた。鑑定が始まる、笠原は司へ申した。

「ご遺族へらせるべきです」

署員がへ向かった。玄関にはきな犀が枝を広げ、梅の湿ったに葉を揺らしていた。

チャイムを鳴らすと、髪の柄な老婦がゆっくり姿を現した。制を見た瞬子の表が止まった。

子さんですね」

署員は子を取り、げた。

「黒岩岳の稜で、ご遺骨とわれるものが発見されました。元確認のため、ご協力をお願いに参りました」

子はしばらく玄関先にち尽くしていた。やがてから力が抜けたように、そのへ座り込んだ。

「真美ですか」

鳴でも、泣き声でもなかった。16、もう度娘の名を呼ぶためにため込んできた、い息のような声だった。

署員が体を支えようとすると、子は犀の幹へ片をついた。葉のから差し込むを見げ、唇を震わせた。

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