"消えた背番号1" 第7話
藤原が証言台にった、傍聴席に顔を向けることはできなかった。
「僕は武志に嫉妬していました」
「いつからですか」
「学の頃からです。いつも武志が1番で、僕は2番でした」
藤原は涙を流した。
「あの夜、武志が選抜を諦めると聞いて、のどこかでびました。やっと自分の番が来るといました」
声が次第に崩れていった。
「でも、そんな自分が許せなくて、武志を責めました。才能を捨てるなと言いました。でも本は違いました。選抜へ来てほしくなかったんです」
藤原は両で顔を覆った。
「気づいたらを振りろしていました。武志が倒れた、僕は怖くなって逃げました」
「その、なぜ野球を続けたのですか」
「分かりません」
藤原は首を横に振った。
「マウンドにつたび、武志をいしました。武志が投げるはずだったボールを、武志がつはずだった所で、僕が投げているといました」
藤原は傍聴席へ向かってをげた。
「僕は武志の命だけでなく、未来も、族の幸せも奪いました」
「武志。本当にごめん」
法廷にすすり泣く声が響いた。
検察側は懲役15を求刑した。
判決の、裁判は藤原の犯を勝でなものとしながらも、自ら告したことと反省の態度を考慮した。
「被告を懲役12に処する」
藤原はくをげた。
「ありがとうございます」
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プロ野球選として築いたすべてを失い、藤原は受刑者となった。
36歳から48歳まで。
12というを、刑務所で過ごすことになった。
刑務所に入ってから、藤原は毎をいた。
宛先は、武志の妹と弟だった。
兄を殺して申し訳ありません。
謝って許されることではありません。
それでも、きている限り謝り続けます。
最初の2、返事は度も来なかった。
当然だった。
藤原も返事を求めてはいなかった。ただ、自分が忘れていないことだけは伝え続けたかった。
3目の、初めていが届いた。
『藤原さんへ。
私たちは、まだあなたを許せません。
これからも許せないといます。
でも、母がきていたなら、憎しみからは何もまれないと言ったはずです。
私たちは兄のために、へみます』
藤原はそのを何度も読み返した。
が涙で濡れ、文字がにじんだ。
「ありがとう」
誰もいない独で、何度もそう呟いた。
毎320になると、武志の墓には元野球部員たちが集まった。
監督も、杖をつく齢になってからも欠かさず訪れた。
「武志、すまなかった」
墓ので、は何度もをげた。
「俺がもっとく気づいていれば、おを救えたかもしれない」
平成24、藤原は12の刑期を終えた。
48歳になっていた。
所の、刑務所ののに迎えはなかった。
藤原はさな鞄を持ち、1で駅へ向かった。
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を乗り継ぎ、阪へ戻った。
最初に向かったのは、宮崎武志の墓だった。
墓に着いたには、空が夕焼けに染まっていた。
藤原はいを供え、墓のに座った。
「武志。12、刑務所に入ってきた」
墓に刻まれた名を見つめた。
「でも、りない。かけてもりない」
が々を揺らした。
「おの命は戻らない。おの未来も戻らない。母さんを助けることも、妹や弟を守ることもできなかった」
藤原は額を面につけた。
「俺は、おのを奪ってきてきた」
い、顔をげることができなかった。
「これからは野球を教えようとう。おがどれだけすごい投だったか、どれほど族を切にしていたか、子供たちに伝えていく」
「そして、嫉妬がをどこまで変えてしまうのかも伝える」
藤原がちがろうとした、背から声がした。
「藤原さん」
振り返ると、1の男性がっていた。
武志の弟だった。
学だったは、40歳を過ぎていた。
「どうして、ここに」
「毎、この期に兄へ会いに来ています」
藤原はくをげた。
「申し訳ありません。本当に、申し訳ありません」
弟はしばらく藤原を見つめていた。
「兄を殺したあなたを、許すことはできません」
「はい」
「たぶん、許せないといます」
藤原はをげたままだった。
「でも、憎み続けることにも疲れました」
弟は墓へ目を向けた。
「だから、ここで終わりにします。兄も、それを望んでいるといます」