"消えた仕送り720万円" 第3話
私は細を押し入れに戻し、何もらないふりをして居へ向かった。
「お帰りなさい。今、お母さんのところにってきたの」
「ああ、そう。元気だったか?」
ネクタイを緩めていた信吾のが、ほんの瞬だけ止まった。
「うん。し痩せてたけど」
「寄りはになるとが細くなるものだろう。気にしすぎだ」
信吾はそれだけ言うと、蔵庫からビールを取りした。
私はその背を見つめていた。
このは、体どんな顔で12、私の仕送りを見ていたのだろう。
翌朝、私はいつもよりくへ向かった。
窓業務が始まるの静かな内で、自分の送記録を確認する。もちろん、職務ることのできる範囲を越えて調べるわけにはいかない。
それでも、振込先の支や取引履歴から分かることはあった。
偽の座が設されたのは、私が母への送を始めた期とほぼ同じだった。
母に仕送りをしたいと私が信吾に相談した直、座は作られていたのだ。
そして、その支は信吾の活圏内にあった。
昼休み、私は母に話をかけた。
「お母さん。に、お父さんがくなった、保険や通帳を理したのこと覚えてる?」
「ああ、あのね。信吾さんが伝ってくれたでしょう。あの、几帳面だから助かったわ」
臓がきくねた。
父がくなった、信吾は母の類を理していた。
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そのなら、母の分証や保険証の報をに入れることは難しくなかっただろう。
さらに母は、こんなことも話した。
「そういえば、昔度だけ保険証が見当たらなくなったことがあったわね。すぐに信吾さんが見つけてくれたけど」
点と点が、本の線で結ばれていく。
それでも私は、すぐに信吾を問い詰めることができなかった。
確信に変わるのが怖かった。
30の結婚活が、最初から嘘のに築かれていたと認めることが怖かったのだ。
仕事の帰り、私は商でノートを1冊買った。
に戻るに喫茶へ入り、覚えている事実を付順にきした。
振込記録。
座番号。
設支。
母の証言。
信吾の反応。
そして、結婚当初に渡された座番号のメモ。
ノートの最初のページに、私はこういた。
――720万円の方を追う。
翌、仕事帰りに友の本すみれが営むへ寄った。
すみれは私より1歳で、数に夫の浮気と借が発覚し、婚を経験していた。弁護士に相談し、証拠を集め、自分の力で活をて直したい女性だ。
私の顔を見るなり、すみれは眉を寄せた。
「富代さん、顔が悪いわよ。何かあったの?」
の奥のさな休憩で、私はすべてを話した。
母が仕送りを受け取っていなかったこと。
座が別物だったこと。
信吾が座番号を用したこと。
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話しているうちに涙がこぼれそうになったが、すみれはを挟まず、最まで黙って聞いてくれた。
「それが本当なら、完全に正よ」
すみれは真剣な表で言った。
「でも、まだ確実な証拠がないの。信吾がしたのか、義母が関わっているのかも分からない」
「証拠を1つずつ積みげなさい」
すみれはコーヒーカップを置き、私の目をまっすぐに見た。
「あなたにはで培った記録力があるでしょう。それが番の武器になるわ。私が婚した、弁護士に言われたの。証拠のない主張は、ただのですって」
付、額、言、状況。
すべてを記録に残す。
族だからといって慮してはいけない。自分を守れないことを、優しさと呼んではいけない。
すみれの言葉は厳しかったが、の差しのように、凍えていたをしずつ溶かしてくれた。
帰り際、すみれは先からオレンジのガーベラを1輪取った。
「希望のよ。お守りにして」
私はを胸に抱き、へ向かった。
もう、には引けなかった。
それから私は、ので信吾のを観察し始めた。
振込細と照らしわせると、毎末になると信吾が必ず弁当を断っていたことに気づいた。
「はでべるから、弁当はいらない」
以は何ともわなかった。
しかし私が仕送りをするのは毎25だった。信吾はその数、昼休みにどこかのATMでを引きしていたのではないか。
ある夜、信吾が呂に入っているに、私はスーツの財布を確認した。