"10年目の地下室" 第2話
は、昨夜の客は全員帰ったと説した。
「田さんという男性が残っていませんでしたか」
「名までは分かりません。閉には誰もいませんでした」
「はありますか」
その質問を受けた瞬、の表がわずかに固まった。
しかし、すぐに笑って答えた。
「倉庫のようなものはありますが、客が入れる所ではありません。老朽化していて危険なので、普段は鍵をかけています」
警察官はを確認しなかった。
の入りはきで管理され、防犯映像は定が過ぎると自にきされる仕組みだった。警察が詳しい確認を始めたには、な帯の映像はすでに残っていなかった。
田の携帯話が最に接続した基局は、カラオケから半径300メートル以内だった。
それ以の通信記録はなかった。
やを利用した形跡もなく、座からが引きされた記録もなかった。
それでも捜査はまらなかった。
成男性の自発失踪。
警察の記録には、そう記載された。
だが妻は諦めなかった。
夫の通話履歴を取り寄せ、1件ずつ確認した。
すると、妻への話がかかってくる2分、午048分に、わずか6秒だけ続いた審な通話が見つかった。
相は局番から始まる番号だった。
照会の結果、その番号は期だけ使用されたプリペイド式携帯話で、すでに契約が終していた。
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当は本確認が分でなく、所者を特定することはできなかった。
波が使われた所は、カラオケの周辺だった。
妻の訴えを受け、警察は忘会に参加した7を再び事聴取した。
ほとんどの社員は、午0にをたと証言した。
課と別の同僚だけが、田と最まで残っていたことを認めた。
「仕事の話をしていました」
課はそう説した。
「どんな話ですか」
「営業成績についてです。特別な内容ではありません」
田と争ったことはないかと聞かれると、課はく否定した。
ところが1週、同席していた社員の1が証言を訂正した。
当初は午030分頃に帰宅したと話していたが、実際には午1を過ぎるまでビルのくにいたという。
「タクシーがつかまらなくて、1階のコンビニので待っていました」
「その、何か見ませんでしたか」
社員はしばらく黙り込んだ。
「鳴り声のようなものを聞きました。カラオケの方からです」
「誰の声か分かりますか」
「分かりません。ただ、かなり激しい調でした」
何を言っていたかまでは覚えていないという。
決定な証拠にはならなかった。
捜査がき詰まり始めた12末、カラオケは突然、廃業届を提した。
ビルの所者への分な説もなく、保証の部を放棄して契約を解除していた。
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が届けた理由は、庭の事だった。
だが、そのはもなく族とともにアジアへ国した。
警察は国を止めなかった。
田が消えてから、まだ2週しかたっていなかった。
2005に入ると、カラオケがあった雑居ビルは空き舗となった。
あせた板だけが残され、入のガラスには「テナント募集」とかれたが貼られた。
田の妻は何度も警察署へ通った。
「夫は最の話で、にりると言ったんです。を調べてください」
しかし警察は、初捜査で異常が確認されなかったとして、再調査を拒んだ。
ビルの所者も、部分は老朽化して危険だと説し、ち入りを認めなかった。
族は自分たちでチラシを作り、駅や商に貼った。
方になったの装、、髪形、眉のくにあるさな傷。わずかな報でもいいので連絡してほしいといた。
目撃報はいくつか寄せられた。
駅で似た男性を見た。方のパチンコにいた。速のサービスエリアで見かけた。
しかし、どれも田本ではなかった。
だけが過ぎていった。
2007、ビルの漏修理がわれた。
へ入った作業員は、通の奥に自然なコンクリート壁があることに気づいた。
壁のさは約10センチ。
周囲の壁よりらかにしく、表面のも違っていた。
くには途で切断された照用の配線が残されていた。