みかん小説
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"9,000億円の離婚届" 第8話

私は、ただ息をむことしかできなかった。

父はこれほどの資産を持ちながら、私がパート帰りに買ってきた100円のプリンを、嬉しそうにべていた。見切り品の野菜で作った煮物を、「うまい、うまい」と何度も褒めてくれた。

「実は、今お呼びしたのは、相続続きだけが理由ではありません」

川支の表が険しくなった。

「先週、浩司さんがこの本へ融資の相談に来られました」

「浩司が、ここへ?」

会社の設として、3,000万円の事業融資を申し込まれました。担保として提示したのが、現まいのご自宅です」

私は息をんだ。

あのは浩司名義だったが、もローンも、ほとんど私のパート代で支払ってきた。浩司は私をから追いすだけでなく、私の血と汗で守ってきたを、美穂との会社のために担保へ入れようとしていたのだ。

「もちろん、融資はお断りしました」

川支ややかに続けた。

「事業計画が杜撰だったこともありますが、私はお父様から浩司さんの素について伺っていました。あの方へ融資するは、当には1円もありません」

父はくなるから、にもを回してくれていた。

「浩司さんは、かなり焦っておられました。審査に落ちた、ロビーで鳴り散らしていましたから」

浩司が量の話と脅迫めいたメッセージを送ってきた理由が分かった。

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会社を辞めて独すると美穂へ約束したものの、がない。父の通帳は3万円しかなく、からの融資も断られた。

さんが鞄から類を取りした。

「まず、ご自宅について処分禁止の仮処分を申してます。浩司さんが勝に売却したり、担保へ入れたりできないようにするためです」

続いて、私が署名した婚届を確認した。

「こちらは、今の午、私が責任を持って役所へ提します。これでゆみさんは、正式に自由になります」

「よろしくお願いいたします」

私はげた。

、見げた空はどこまでもく澄んでいた。今週末の親族会議で、浩司と子の嘘を全てらかにする。

そう決した夜、実のアパートの扉を乱暴に叩く音が響いた。

けなさい、ゆみ! いるのは分かってるのよ!」

子の切り声だった。

ドアチェーンをかけたままけると、派套を着た子が、肩で息をしてっていた。そのには、私がへ置き忘れていたさな髪飾りが、潰れるほどく握られていた。

き母が、私の結婚祝いにくれたものだった。

「これ、あなたの部にあったわよ。こんな貧乏臭い物を、うちの派なへ置いていかないでちょうだい」

子は髪飾りを元へ投げ捨てた。

乾いた音が、コンクリートのへ響いた。

その音を聞いた瞬、胸の奥で、これまでしていた何かが完全に切れた。

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「さっさとけなさい。浩司が今でどれだけ恥をかいたとっているの」

子は靴先を扉の隙へねじ込んだ。私は度扉を閉め、チェーンをしてからきくけた。

子はのまま、狭い部がり込んできた。

「あなたが裏で変な作をしたんでしょう。だから浩司の融資が断られたのよ」

唾をばしながら、子は鳴った。

「浩司は美穂さんとしい会社を作って、派な社になるの。それなのに、あの員は浩司を馬鹿にして」

やがて矛先は、父へ向いた。

「そもそも、あなたのお父さんが悪いのよ。ぼろアパートの管理なんて世体の悪い仕事をして、そのせいで浩司までに軽く見られたんだわ」

私は両を固く握った。

「私たちはね、あなたのお父さんがぬのを待ってあげていたのよ。隠し財産で浩司の会社を作るために。それなのに、通帳の残が3万円って、どういうことなの?」

次々に吐きされる本音に、らしいなど何ひとつなかった。

「美穂さんは若くてきれいで、実も裕福なの。あのがお嫁に来てくれれば、私の老は完璧よ」

りから転、子はを見るような顔になった。

「浩司が社になって、私は社の母。古いは売って都内の級マンションを買うの。事は全部政婦へ任せて、美穂さんは毎、温泉やエステに連れていってくれるって約束してくれたわ」

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