みかん小説
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"床下に消えた29年" 第6話

夫は、自分を々から姿を消した。

を尋ねる者がいない所を選び、別の姓を使いながら、古民で孤独な暮らしを始めた。その元には、彼が自由を奪い、命を終わらせたとみられる妙子が横たわっていた。

捜査員が板の構造を確認すると、遺体が置かれた所はでも特にが頻繁に歩く位置にかった。

夫は妙子をへ埋めたのではなかった。

自分が暮らし続けるへ隠したのだ。

夫は、古民で25暮らしていた。

毎朝目を覚まし、部を歩き、事を取り、夜になると同じで眠った。その常のすぐに、妙子の遺体が隠されていた。

彼がどのような気持ちでを歩いていたのかは分からない。

記にも、の遺体について直接記した文章はほとんど残されていなかった。1990代半ばの激しい記述が途切れた、ページにはい空と平凡な活の記録だけが続いていた。

気。

体調。

買い物。

眠れない夜。

それらのい言葉は、過に何も起きていなかったかのように並べられていた。自分の元にある現実を無し、常を繰り返すことで、夫は自分自に普通の活を送っているとい込ませようとしていたのかもしれない。

民が覚えていた夫の姿も、その記となった。

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彼はとの接触を極端に避け、必なこと以は話さなかった。誰かが親切からを訪れようとしても、玄関先で用件を済ませ、内部へ招き入れることはなかった。

の修理や点検も、能な限り自分でっていたとみられた。

に見られる危険を避けるためだったのか、単に付きいを嫌っていたのかは断定できない。それでも、結果としてへ入る者はほとんどいなかった。

夫の孤した活は、周囲から見れば齢者の気難しさにすぎなかった。

だが、事件がらかになったでは、その孤は犯罪を守るための戦略のように見えた。何気ない会話から過られることも、突然の訪問者にを見られることも避け続けていたのである。

彼は妙子の族やと連絡を取らなかった。

かつてのたちも、夫がどこにいるのかをらなかった。が経つにつれて彼のは減り、妙子の事件も々の記憶かられていった。

それでも、夫は写真を捨てていなかった。

顔を切り裂いた集写真を額縁に入れ、部に置いていた。妙子へのりを消すために傷つけたのか、忘れられないために残したのか、その理由は分からなかった。

医療カードも属の箱のに保管されていた。

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記も処分されず、婚直の執着と脅迫な言葉が残り続けていた。犯罪を完全に隠したいのであれば、捨てるべき物を、夫はなぜか元に置き続けていた。

警察は、夫が秘密を誰にも話さなかった方で、完全に過を切りすこともできなかったのではないかと考えた。

妙子を自由にすることはできず、命を奪ったも、写真や記録を通して自分のそばに置こうとしていた。その異常な執着は、29く経ってもから消えていなかった。

が流れ、夫は齢になった。

体は衰え、記には病気と孤独へのが増えていった。それでも彼は自ら警察へくことも、妙子の遺体を埋葬することもなかった。

け、過らかにする会は何度もあったはずだった。

だが、夫は秘密とともに古民で暮らし続けた。自分がすれば、と遺体がどうなるのかを考えていた形跡も見つからなかった。

もし古民がそのまま残り、誰もを解体しなければ、妙子はさらに発見されなかった能性がある。

建物が空きになり、やがて自然に崩れていたとしても、の遺体が誰かの目に触れる保証はなかった。夫のごと放置されれば、秘密は永久に材のへ埋もれていたかもしれない。

しかし、2023夜。

古い配線からじたさな異常が、夫の計画を終わらせた。

消防による調査では、災の原因も詳しく調べられた。

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