"床下に消えた29年" 第5話
記との構造を見れば、警察の判断は者へ傾いていった。
やがて遺伝子鑑定の結果も届いた。
から発見された女性の遺体は、志妙子の親族と血縁関係があることが確認された。歯の治療記録や齢も致し、元は志妙子で違いないと結論づけられた。
1994にしい活を求めて町をったとわれていた女性は、どこへもっていなかった。
元夫が移りんだの古民。
そので、の板に縛りつけられたまま、29く発見を待ち続けていた。
警察は、残された証拠をもとに1994の来事を再構築していった。
夫本は災でしていたため、取り調べをうことはできなかった。妙子が最にどこで目撃されたのか、どのように古民へ連れて来られたのかについても、完全に確認することは能だった。
それでも、記と居の購入期、遺体の状態から、事件のまかな流れは見えてきた。
夫は妙子との婚を受け入れることができず、関係が終わったもい執着を抱き続けていた。記には、妙子が自分かられることへのりと、再び支配に置こうとするが繰り返しかれていた。
婚が正式に成した、妙子は夫との関係を断ち、しい活を始めようとしていた。
しかし、夫はそれを認めなかった。
広告
警察は、夫が妙子のを追い、何らかの方法で彼女を連れった能性がいと判断した。
妙子が失踪した直、夫は母親の旧姓を名乗り、の古民で活を始めていた。
このは、偶然選ばれたものではなかったと考えられた。の入りがなく、周囲から隔され、内部の音もへ届きにくい所だったからである。
から見つかった遺体には、幅広の革ベルトが巻かれていた。
胴体とが板へ固定され、簡単にはきできない状態だった。ベルトの位置と骨格の状態から、妙子はに遺体を運ぶためだけに縛られたのではなく、きているに拘束されていた能性があるとみられた。
妙子が古民へ連れて来られた、どれほどのをきていたのかは分からなかった。
数だったのか、数以だったのかを示す記録は残っていなかった。遺体の乾燥といによる変化のため、直接な因も特定できなかった。
だが、彼女が自由を奪われ、このからられない状態にされていたことだけはらかだった。
「もう彼女は逃げることができない」
記に残されたその1文は、夫が妙子を拘束したにいた能性がいと判断された。そこには悔や揺ではなく、目を果たした者のようながにじんでいた。
広告
ある点で、妙子は命を失った。
因が窒息だったのか、暴力によるものだったのか、あるいは拘束された状態で衰したのかは分からなかった。警察は複数の能性を検討したが、29いを経た遺体から確定な答えを得ることはできなかった。
妙子の、夫は犯罪の痕跡を隠す作業をった。
部の板の部をし、そののと空を広げた。の板に縛りつけられた妙子の遺体をへ置き、から再び板を取りつけた。
修復されたは、見から異常が分からないように仕げられていた。
古民を訪れるがほとんどいなかったこともあり、誰もその部分を審にわなかった。夫自が修理をしたのか、に頼んだのかは確認できなかったが、のはいられないままだった。
妙子の方事件がい段階で自発な失踪と判断されたことも、夫にとって利に働いた。
婚直の女性が誰にもき先を告げずに消えたという状況は、しい活のために町をれたという説と結びつきやすかった。な親戚がなく、捜索をく求め続ける物もいなかった。
警察は夫を詳しく調べていなかった。
元夫であることは記録に残っていたものの、妙子が自分のでった能性がいと判断されたため、犯罪を疑う捜査までまなかった。
夫がに移った事実も、妙子の失踪とは結びつけられなかった。
広告
おすすめ作品
-
完結第8話
天井裏の元彼
2012年、福岡市の古いワンルームで一人暮らしを始めた小林里奈。 束縛の激しかった元恋人・山田誠と別れ、ようやく自由な生活を取り戻したはずだった。ところがその直後、誠は突然行方不明になる。 数か月後、里奈の部屋で奇妙な出来事が起こり始めた。 冷蔵庫の食べ物が少しずつ消え、置いたはずの物が別の場所へ移動する。夜になると、誰もいないはずの天井から、何かが這うような音が聞こえてくる。 警察も管理会社も、友人も、誰も里奈の言葉を信じなかった。 「疲れているだけ」 「気にしすぎだ」 そう言われ続けた里奈は、自分の記憶さえ疑い始める。 やがて彼女は、その部屋を逃げるように去った。 しかし2年後、寝室の天井裏から発見されたものが、里奈の恐怖が妄想ではなかったことを証明する。 あの夜、彼女が見上げていた天井の向こうには、確かに“誰か”がいた――。ミステリー|真相|行方不明1.1萬字5 9 -
完結第11話
消えた父子の23枚
2017年3月、奥多摩の山中で、元消防士の伊藤大輝と生後8か月の赤ん坊が跡形もなく姿を消した。 父子は遭難したのか。それとも、誰かから逃げていたのか。遺体も手がかりも見つからないまま、事件は6年の時を経て忘れられようとしていた。 しかし2023年、地質調査に訪れた大学生2人が、岩の隙間から古いデジタルカメラを発見する。そこに残されていたのは、赤ん坊を抱く父親の写真と、背後から近づく不審な人影だった。 さらに調査を進めるうち、2人は「伊藤ハルト」という名前を消され、「鈴木湊」として生きる青年にたどり着く。 彼は本当に、6年前に消えた赤ん坊なのか。 そして大輝が命をかけて守ろうとした“真実”とは何だったのか。 1台のカメラが、封じられた過去と、血よりも深い父の愛を静かに暴き出していく。ミステリー|真相1.6萬字5 728 -
完結第11話
湯殿床下の女将日記
1999年、銀山温泉の老舗旅館「白糸屋」で、女将・鍛原沢子が忽然と姿を消した。 部屋は整えられ、財布も草履も残されたまま。争った跡もなく、まるで朝霧に溶けたように、彼女だけが消えていた。 夫を亡くしてから10年、たった1人で旅館を守ってきた沢子。だが失踪の数日前、東京から来た見知らぬ男と長く話し込み、その後、彼女の顔は真っ青になっていたという。 捜査は進まず、白糸屋はやがて閉ざされた。 それから6年後、取り壊しが決まった旅館の湯殿の床下から、油紙に包まれた一冊の帳面と銀色の帯留めが見つかる。 そこに残されていたのは、沢子が誰にも言えなかった苦しみと、息子の名前。 そして、40年以上湯殿を守ってきた三助の老人だけが知る、霧の朝の本当の出来事だった――。ミステリー|真相1.6萬字5 439 -
完結第10話
10年目のハザード
1999年10月、夜明け前の阪和自動車道に、1台のタクシーがハザードランプを点けたまま残されていた。 運転席は無人。車内に争った跡はなく、鍵も残されたまま。所有者は、大阪・堺で個人タクシーを営む藤村達夫だった。 警察が自宅を訪ねると、妻・安子と娘・真奈美の姿も消えていた。台所には冷めた味噌汁、まな板には切りかけのネギ。家族3人は、夕食の途中で突然この世から切り取られたように姿を消していた。 達夫が最後に乗せた客は誰だったのか。 そして、なぜ一家は財布も通帳も残したまま消えたのか。 10年後、取り壊しが決まった団地の室外機の裏から、1本の古いカセットテープが見つかる。 そこに残されていたのは、達夫が命がけで吹き込んだ、震える声だった――。ミステリー|行方不明1.5萬字5 1119 -
完結第15話
土俵下の12年
昭和47年、東京・両国の相撲部屋から、期待の若手力士・林岳司が突然姿を消した。 能登の小さな漁村から上京し、家族の期待を背負って土俵に立っていた21歳の青年。部屋には荷物も手紙も残されたままで、まるで少し外へ出ただけのように、彼の生活だけがそこに残っていた。 両親は息子がどこかで生きていると信じ、12年間待ち続けた。 しかし昭和59年、故郷の古い土俵を解体した時、土の下から思いがけないものが見つかる。 東京で消えたはずの岳司は、なぜ故郷の土俵の下にいたのか。 稽古場で何が起き、誰が12年間も真実を隠し続けたのか。 若き力士の失踪は、故郷の土の中から静かに動き出す――。ミステリー|行方不明2.2萬字5 1123 -
完結第9話
50年目の沈黙の部屋
2021年、福井県の山あいにある閉鎖病院で、壁に塗り込められた小さな部屋が発見された。 窓もなく、扉もなく、外から完全に塞がれたその空間に残されていたのは、1人の男の骨と、古い観察記録だった。 記録の日付は、1973年。 そこに書かれていたのは、吉川明という30歳の患者の名前だった。だが不思議なことに、彼は病院の閉鎖後も、家族からも行政からも、誰からも探されていなかった。 なぜ彼は、誰にも知られず壁の中に残されたのか。 そして、最後の記録に残された「生命の兆候なし」という一文の後、病院では何が行われたのか。 50年近く沈黙していた廃病院の壁が、今、ひとりの男の消された人生を語り始める。ミステリー|行方不明1.4萬字5 565