"床下に消えた29年" 第2話
災から逃げ遅れてへ落ちたのでも、事故で閉じ込められたのでもなかった。
誰かが図に、その所へ置いたのだ。
夜の災現は、その瞬から別の性質を持つ所へ変わった。
そこは焼者が見つかっただけの古民ではなかった。い、板のに犯罪の痕跡を隠し続けていた、30くの現だった。
消防署の責任者は、で発見された遺体を確認すると、直ちに岐阜県警察本部へ連絡した。
消防士たちはそれ以穴の周囲に触れず、瓦礫が落ち込まないようにを確保した。現の入りは制限され、古民の周辺には警察の規制線が張られた。
夜がけ始める頃、捜査員と法医学の専たちが現へ到着した。
焼け落ちた根からい煙ががり、放によって濡れた材から焦げた臭いが漂っていた。そのでの空だけは災の響をあまり受けず、乾いたたい空気を保っていた。
最初にわれたのは、遺体と周囲の状態を記録する作業だった。
専は穴の縁から写真を撮し、板の位置、ベルトの巻き方、の残り方を1つずつ確認した。のや材にも用に触れず、わずかな痕跡も失わないよう慎に作業をめた。
遺体は期にわたって乾燥した環境に置かれていた。
湿気がなく、気との接触も限られていたため、通常の腐敗とは異なる変化を起こしていた。
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遺体は自然に乾燥し、いわゆるミイラ化した状態になっていた。
そのため、災が起きた2023にした物ではないことはすぐに分かった。
や革ベルトの劣化、板の古さ、遺体の乾燥状態をわせると、なくとも数ではなく、何というが経過している能性がかった。
遺体の骨格や残された特徴から、成女性であることも判した。
女性はの板に仰向けに固定され、胴体だけでなくにもベルトが巻かれていた。革は乾燥してくなり、具にはい錆が浮かんでいたが、拘束の形ははっきりと残っていた。
自らその姿勢になったとは考えられなかった。
女性がへ置かれた、抵抗できない状態にされていたことは疑いようがなかった。捜査員たちは言葉を交わすことなく、その異様な景を見つめていた。
遺体は板ごと運びさなければならなかった。
いを経た体は非常に脆く、わずかな振でも損傷する恐れがあった。専たちは周囲の瓦礫をしずつ取り除き、板のへ支持具を差し込みながら、をかけてから引きげた。
その、別の捜査員たちは古民の残りの部分を調べていた。
建物の半は災と放によって破壊されていたが、にい収納所やの隅には焼け残った物もあった。
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錆びた農具、古い活用品、使われなくなった器具が、とのから次々に見つかった。
にい収納空の隅で、捜査員の1が属製の箱を発見した。
箱は古く、表面には錆が浮かんでいたが、蓋は固く閉じられていた。のを直接受けなかったため、の物は比較良い状態で残っていた。
箱をけると、何通かの類と個文が入っていた。
くは災でした齢男性のものとみられたが、そのに1枚だけ、女性の名が記された古い医療カードが混じっていた。
カードにかれていた名は、志妙子。
は1958で、最に医療関を利用した記録には1992の付が残されていた。災でした齢男性とは異なる名であり、から発見された女性との関係もまだ分からなかった。
捜査員はカードを証拠袋へ入れ、警察の記録と照するよう連絡した。
そののうちに、最初のな結果が返ってきた。
志妙子は、方者として警察の記録に残っていた。
届が提されたのは1994の。
当36歳だった妙子は、婚した直に周囲との連絡を絶ち、そのまま消息が分からなくなっていた。
捜査員たちは、約29の方事件の記録を取り寄せた。
届いたファイルは、驚くほどかった。
数枚の報告と、関係者から聞き取った内容が残されているだけだった。
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