"復讐とんかつの逆転便" 第2話
周囲から笑い声ががった。
琢磨は何も言い返せず、べかけのパンを膝のへ伏せた。
そのから、昼休みに教で事を取ることをやめた。の来ないへ続く階段の踊りで、壁に背を向け、1でパンをべるようになった。
あのの笑い声を、琢磨は1度も忘れたことがなかった。
があれば見されない。
成功すれば、誰にも馬鹿にされない。
そので働き、識をにつけ、寝るも惜しんで会社を育てた。
ようやくに入れた今の暮らしだった。
だが、成功の先にあった景は、琢磨がい描いていたものとは違っていた。
を許せるは1もいない。
誰かを信用すれば、みを握られるような気がした。から好を向けられても、や肩きを見ているだけだと疑った。
毎晩、誰もいない部で1きりの夕を取る。
自分にはがある。
だが、それだけだった。
綾音が届けた弁当をテーブルに置き、琢磨は子へ腰をろした。
蓋をけると、きつねに揚がったきなとんかつが現れた。細く刻まれたキャベツと漬物が添えられ、い米からはまだ湯気がっている。
琢磨は箸でとんかつを持ちげた。
復讐の始まりを祝うような気持ちで、かじった。
が軽い音をてて砕けた。
その直、柔らかな肉からい脂と旨が広がった。
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琢磨は箸を止めた。
「……うまいな」
誰もいない部に、わず漏れた声だけが響いた。
綾音と再会してから数、琢磨は仕事に集できなかった。
パソコンの画面を見ていても、配達用のジャンパーを着てをげていた綾音の姿が浮かんでくる。
代は、自分とは違う世界にいる女だった。
いつもの輪のにいて、欲しいものを何でもに入れられるように見えた。そんな彼女が、なぜ弁当の配達をしているのか。
琢磨は会社の報収集能力を使い、柏の現状を調べ始めた。
かつて都内に12舗を展していた「とんかつ柏」は、4に急激な舗拡をっていた。
規のために額の融資を受け、員を増やし、型のまで借りた。しかしした域でうように客が集まらず、原材料費の騰もなった。
数舗を閉鎖した頃には、返済の負担がに負えないほど膨らんでいた。
現残っているのは、宅にある本だけだった。
柏は自宅を放し、族3でを回しながら、額の借を返済している。完済までには、なくともあと10かかると見られていた。
画面に表示された数字を眺めながら、琢磨の胸に復讐がせりがった。
教の隅でさくなっていた自分。
笑い声のにいた綾音。
彼女の放った言葉は、何たっても琢磨の背に張りついたままだった。
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「見せてやる」
琢磨は誰もいないオフィスで呟いた。
「俺が、どれだけにったか」
それから琢磨は、自宅だけでなく会社にも頻繁にとんかつ弁当を注文するようになった。
注文は配達サービスを使わず、毎回へ直接話した。
すると、配達には綾音が来た。
タワーマンションの広いエントランス。
理のと、い井からがる照。
そこへ古びた配達用のジャンパーを着た綾音が現れ、受付で琢磨の部番号を告げる。
オフィスへ注文したには、ガラス張りの会議や、若い社員たちが働くフロアへ彼女が弁当を届けに来た。
琢磨は必ず自分で受け取りにた。
「どうも」
弁当を受け取りながら、腕計を見えるようにかすこともあった。
綾音がオフィスを見回していると、わざと経営者らしい調で社員へ指示をした。
自分はもう、あの頃の貧しいではない。
おが笑った男は、ここまで来たのだ。
そう伝えたかった。
だが綾音は、琢磨の惑に気づいているのかいないのか、余計なことは何も言わなかった。
「いつもありがとうございます」
そう言ってをげ、すぐに帰っていく。
その姿を見るたび、琢磨ので2つのがぶつかりった。
過の屈辱をらしているような、歪んだ満。
そして、落ちぶれた相を見てんでいる自分への嫌悪。
琢磨は者に蓋をした。
これは当然の報いだ。
あれだけを傷つけたのだから、今度は自分が悔しいいをすればいい。