"消えた父子の23枚" 第8話
胸元には「伊藤輝」と名が縫いつけられていた。内側のポケットからは、池がほとんど切れた古い携帯話がてきた。
湊が源ボタンを押すと、かすかに画面が点灯した。ロックパターンを求める表示がると、湊は迷うことなく指で「G」のような形を描いた。
「どうして分かったんだ」
優斗に尋ねられても、湊自にも説できなかった。
「分かりません。ただ、こうすればく気がしました」
携帯話には、写真やメモとともに、最に撮された画が残っていた。再すると、画面に息を切らしてる輝の顔が映った。
『誰がこれを見るか分からない。奴らが俺を追っている。彩佳がすべてを話してくれた。俺は、あの子を守りたかっただけだ』
映像は激しく揺れ、背から枝の折れる音が聞こえた。
『ハルト。本当の父親ではなくて、ごめんな。でも俺は、おをからしている。奴らはおの母親を消した。今度はおまで奪おうとしている』
くで男の叫ぶ声が聞こえ、輝は何度もろを振り返った。
『がない。これを見つけたがいたら、ハルトを探してくれ。王子の養子縁組センターへ運ばれるはずだ。頼む』
そこで映像は途切れた。
湊は携帯話を握ったまま、声をげて泣いた。
「僕のためにんだんですか。血がつながっていないのに、僕を守るために全部捨てたんですか」
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奈は隣に座り、湊の肩を抱いた。
「輝さんは、あなたを本当の息子としてしていたのよ」
優斗が携帯話の裏蓋をすと、さなSDカードが入っていた。には写真や類のほか、伊藤ハルトという名がかれた証の写しが保されていた。
父親の欄は空で、母親の名は美恵となっていた。
洞窟をた、湊は育ての両親へ真実を尋ねることを決した。都内のマンションへ戻り、優斗と奈をロビーに待たせて、1で自宅へ入った。
見慣れたリビングは、そのだけ別ののようにじられた。壁の族写真も、ソファのクッションも、これまでとは違うを持って目に映った。
「母さん。父さんも呼んでください。2に聞きたいことがあります」
両親と向かいった湊は、カメラと携帯話をテーブルへ置いた。伊藤輝と赤ん坊の写真を見せると、母親の顔が青ざめた。
「この赤ん坊は僕ですよね。本当の名は伊藤ハルトなんですか」
い沈黙の、父親が鏡をした。
「どこで、それを見つけたんだ」
「答えてください」
母親は涙を流しながら、震える声で認めた。
「あなたは養子として、私たちのところへ来たの。伊藤輝さんは実の父親ではなかったけれど、あなたをからしていたと聞いているわ」
「どうして何も話してくれなかったんですか」
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湊はちがり、を抑えきれずに声をげた。
「僕には、自分が誰なのかる権利があったはずです。ずっとので聞いていた声も、ハルトという名も、全部本当だったんじゃないですか」
父親は斎から古い封筒を持って戻った。には、輝が残したものとわれるいが入っていた。
――どうか、この子を育ててください。
いつもされていた子だと伝えてください。
伊藤輝。
父親は、6の夜をいしながら話した。
「インターホンが鳴って、玄関をけたが誰もいなかった。にはバスケットが置かれ、そのに君がいた。にはし血がついていた」
両親は警察へ通報しようとした。しかし、直に正体の男から話があり、誰にも話すなと脅されたという。
「私たちは怖かった。でも、君を放すこともできなかった。だから名を変え、過を隠して育てた」
母親は湊のを握った。
「私たちがあなたをしていることだけは、嘘ではないわ」
湊の目から涙が流れた。りや混乱は消えなかったが、自分を育てた両親のまで偽物だったとはえなかった。
「数、斎藤彩佳という女性が訪ねてきたことがある」
父親が続けた。
「君の過について真実をっていると言っていた。でも、そのは度も会えなかった」
湊は輝の最の画を両親へ見せた。
映像が終わると、リビングはい沈黙に包まれた。
やがて湊はちがり、両親を見つめた。