"消えた父子の23枚" 第3話
「警察へ持っていきましょう」
奈は画面から目をし、はっきりと言った。
「これは、単なる遭難事件ではないかもしれない」
2は最寄りの警察署を訪れ、担当した刑事にカメラを差しした。しかし、事を聞いたは疲れた表を浮かべ、資料を確認するから消極な態度を見せた。
「6の事件ですね。捜索はすでに終しています。父親が登にをれ、子供とともに滑落した能性がいと判断されています」
「でも、遺体は見つかっていません」
奈はを乗りし、写真の背景を指さした。
「しかも、誰かが2を追っていました。このカメラには、その証拠が残っています」
刑事は仕方なさそうにカメラを受け取った。数枚の写真をめくったところで、それまで気のなかった表が急にくなった。
「このカメラは、どこで見つけましたか」
「奥摩側の、さな洞窟です。質調査に岩の隙から発見しました」
優斗が所を説すると、刑事はしばらく沈黙した。やがてカメラを机の引きしへ入れ、2の連絡先を記録した。
「証拠品として保管します。この事件については、これ以部へ公表しないでください」
「どうしてですか」
奈が聞き返すと、刑事は線をわせないまま答えた。
「正式な確認が必だからです。
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まだ、どのような事件かも分かっていません」
警察署をた2は、くのカフェへ入った。窓際の席に座った奈は、温かいみ物にもをつけず、警察署の方向を見つめていた。
「刑事、何かっているように見えなかった?」
優斗も同じ違を覚えていた。彼はノートパソコンをき、伊藤輝の名と失踪した付を入力した。
古い聞記事によれば、輝は元消防士で、岳救助にも参加した経験があった。記事ではに迷った能性が指摘されていたが、優斗は画面を見ながら首を振った。
「元消防士で、に慣れていただ。赤ん坊を連れているのに、準備もなく危険な所へ入り込むとはえない」
さらに検索を続けると、20174に投稿された匿名のき込みが見つかった。
――王子の養子縁組センター付で、置きりにされた赤ん坊を見たはいませんか。
き込みには、赤ん坊が8かほどだったことも記されていた。輝たちが失踪してから、わずか数週の投稿だった。
「王子は奥摩の側だ」
優斗は図をき、失踪点と施設の位置を確認した。
「輝さんが子供を誰かに託した能性がある」
奈は、カメラに残されたハルトの顔をい浮かべた。片の破れた熊のぬいぐるみを握り、洞窟の暗で父親を見つめていた赤ん坊の姿が、かられなかった。
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「その養子縁組センターへきましょう。あの子がきているなら、今どこにいるのか確かめたい」
2は調査を続けることを決めた。ただし、そのの彼らはまだらなかった。
洞窟で見つけたカメラが、1の青のだけでなく、自分たちのにも危険を招くことになるとは、像もしていなかった。
翌朝、優斗と奈は王子にある「しい始まり養子縁組センター」を訪れた。に濡れた青い板はあせ、建物のには古びた自転が数台並んでいた。
2は学の研究調査を装うことにした。質学科の学であることを隠し、養子縁組制度を研究する社会福祉学科の学だと説する予定だった。
「自然にならないようにしましょう」
奈は玄関のでく息を吸い、優斗が持っていたハルトの写真を鞄のへ隠した。
建物に入ると、古いの匂いと温かな空気が2を包んだ。壁にはしい族と暮らす子供たちの写真が飾られ、待の棚にはさな玩具や絵本が並んでいた。
受付の女性へ研究目を伝えると、奥の事務所から背がく痩せた男性が現れた。鏡の奥から2を観察するように見つめ、慎な調で自己紹介した。
「センターの剛です。どのような研究でしょうか」
優斗は準備していた説を始めた。
「2015から2020までの養子縁組の傾向を調査しています。特に、1親庭の子供がどのような過程を経て、しい庭へ迎えられるのかを研究しています」