"10年目のハザード" 第8話
い差しのを歩き、汗を拭いながら古い所を1軒ずつ訪ねた。髪の元刑事が宅を歩く姿は、10に消えた族の声に導かれているようだった。
やがて宮本は、元従業員の田という老にたどり着いた。
田はい闘病活を送っており、営宅ので1暮らしをしていた。宮本が訪ねた、痩せ細った体を布団に横たえ、苦しそうな呼吸を繰り返していた。
「警察ですか。何の用です」
田の声はくかすれていた。
宮本は布団のそばに腰をろした。問い詰めるような調を避け、老の顔をまっすぐ見た。
「10のことを聞きに来たんです。神戸の運送会社で何があったのか、あなたは何かってはるんやないですか」
田は井を見つめたまま答えなかった。
痩せた胸がゆっくりし、古い計の秒針だけが内に響いた。宮本は急かさず、老がをくまで待った。
い沈黙の、田の落ちくぼんだ目から涙がこぼれた。
「もう、わしもくない。このまま黙ってぬのは、寝覚めが悪うてな」
田は震える声で、しずつ過を語り始めた。
10、運送会社が裏で正なをかしていたこと。経理担当の佐野がその秘密をりすぎたため、会社とつながる者たちに狙われたこと。
そして佐野が命を奪われ、神戸からを越えたのへ埋められたこと。
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宮本は声を挟まず、田の言葉を聞き続けた。
やがて田は、さらに恐ろしい事実をにした。
「それからしばらくして、会社の連が言うとった。余計なもんに見られたって」
老のが、布団のでさく震えた。
「タクシーの運転が現を見てしもうた。そいつのを塞がなあかんって。運転だけやない。族ごとやと」
宮本は膝ので拳を握った。
「藤さんも、のに埋めたんですか」
田はゆっくり首を振った。
「佐野さんとは別の所や。同じの、もっと奥やと聞いた。3、まとめて始末したと」
そこまで話すと、田は声をげて泣きした。
痩せ細った体を布団ので丸め、子どものようにしゃくりげた。
「わしはそのにはおらんかった。けど、止められへんかった。怖うて、何も言えんかった」
「すまん……10も黙っとって。あの族には、何の罪もなかったのに」
宮本は老の背へを置いた。
りもしみも胸のにあふれていたが、何も言えなかった。震える背をゆっくりさすりながら、告が終わるのを待った。
これで、すべてがつながった。
正なの流れをった佐野。
佐野が埋められる現を見た達夫。
封じのため、族ごと連れられた藤。
10ばらばらだった謎が、の裏から見つかった1本のテープと、をにした老の証言によって結びついた。
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すべてはのに眠っていた。
宮本は田のをると、まぶしい空を見げた。蝉の声がり注ぐように響き、髪と皺の増えた顔をい差しが照らした。
「藤さん……やっと見つけたで」
宮本の目から涙があふれた。
しかし、捜査はまだ終わっていなかった。
佐野を、達夫を、子を、真奈美を、暗くたいのからへ連れ戻さなければならなかった。
それが宮本に残された、最の使命だった。
田の証言をもとに、警察は県内のを対象とした本格な捜索を始した。
季節はの盛りを過ぎ、朝夕にはしずつの気配が混じり始めていた。藤が消えた季節が、再びづいていた。
現は神戸からを越えた、い々に覆われた帯だった。
田が聞いていた話をもとにおおよその範囲は絞られたものの、正確な所までは分からなかった。10という歳のに々は育ち、倒れ、形も変化していた。
宮本も捜索隊に加わった。
髪の元刑事は若い捜査員たちに交じり、急なを歩ずつ登った。元のは湿り、枝が制や作業着へ何度も引っかかった。
捜索は難航した。
面の状態を確認し、探査器を使い、範囲を区切ってしずつ調べていった。何かけても、自然な痕跡は見つからなかった。
それでも宮本は、作業をやめようとはしなかった。
「10待たせたんや。