"土俵下の12年" 第11話
「いな」
その瞬、そのにいた者たちは言葉を失った。
に何かが入っている。
作業員たちは顔を見わせた。
誰も先にこうとしなかった。
やがて責任者が慎に膝をつき、毛布の端をめくった。
その直、彼はい叫び声をげてろへがった。
「うわっ!」
ほかの作業員たちも駆け寄った。
そして全員が凍りついた。
毛布のには、の骨があった。
く変し、にまみれた骨。
蓋骨、肋骨、の骨。
それは、誰が見てもの遺体だった。
現は気に騒然となった。
「警察だ」
「く警察を呼べ」
責任者は震えるで話をかけた。声がうまくず、何度も唾をみ込んだ。
「もしもし、警察ですか。変なものがました。の骨です。所は能登半島の漁の古い俵の跡です。すぐ来てください」
30分ほどして、警察が到着した。
刑事たちは現に規制線を張り、たちをざけた。鑑識もすぐに呼ばれた。い袋をはめた捜査員が、慎に毛布と骨を調べ始める。
俵のに埋められていた遺体。
それだけで、事故とは考えにくかった。
誰かが図に埋めた。
誰かが隠した。
現にった刑事は、すぐにそう判断した。
鑑識はしずつ遺骨を取りした。損傷は激しく、も経っていたため、元の特定は簡単ではなかった。
しかし、蓋骨にはらかな損傷があった。
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部がきく陥没していた。
鑑識の1が、刑事にい声で言った。
「かなりい衝撃を受けています。転落か、く打ちつけられた能性があります」
刑事は黙って頷いた。
さらに遺骨の周囲から、いくつかの品が見つかった。
古い布の切れ端。
腐した属片。
そして、さな名札のようなもの。
それはいで錆びていたが、わずかに文字が読めた。
「林岳司」
その名を見た瞬、現にいた1の刑事が顔をげた。
「林岳司……どこかで聞いたことがある」
配の警察官が、しばらく考え込んだ。
そして、はっとしたように呟いた。
「12、京で方になった力士だ」
そのの空気が変わった。
京で失踪したはずの若い力士の遺骨が、故郷の古い俵のからてきた。
それは単なる遺体発見ではなかった。
12閉ざされていた事件が、突然面のから姿を現したのだった。
らせはすぐに京の警察にも届いた。
川県警は捜査本部を設置した。
担当になったのは、佐藤刑事。45歳。20以の経験を持つベテランだった。
佐藤は資料から、12の失踪事件の記録を取り寄せた。
「昭47316、京・両国の名部から林岳司、当21歳が失踪。朝、部をたまま方。捜索したががかりなし。自殺の能性も考慮されたが、遺体は見つからず」
佐藤は類を机のに並べ、じっと見つめた。
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12、京で消えた若者。
その遺体が、川県の故郷の俵のから発見された。
なぜ京で消えたが、故郷にいるのか。
自分で移したはずはない。
誰かが運んだ。
しかも、俵のに埋めるという為はらかに計画だった。
偶然ではない。
佐藤は静かに呟いた。
「名部だな」
事件のは、やはり京の相撲部にある。
そう考えるのが自然だった。
そのの夕方、佐藤は林を訪れた。
正雄と子は、すでにの噂で何かが見つかったことを聞いていた。けれど、それが自分たちの息子だとは、まだらされていなかった。
佐藤が玄関につと、子は胸にを当てた。
「警察の方……ですか」
「はい。川県警の佐藤と申します」
正雄は無言で佐藤をに招き入れた。
居には、いをじさせる静けさがあった。仏壇の横には、若い頃の岳司の写真が飾られていた。京へくに撮った写真だろう。きな体をし窮屈そうにしながら、真面目な顔で写っている。
佐藤はその写真に度目を向け、それから正座した。
「落ち着いて聞いてください」
子の指先が震えた。
正雄は膝ので拳を握った。
佐藤はゆっくり言った。
「古い俵のから発見された遺骨について、林岳司さんのものである能性が非常にいと分かりました」
子の顔から血の気が引いた。
「岳司……?」
声は、ほとんど音になっていなかった。
正雄はしばらくかなかった。
「俵の……?」