"中卒社員の逆転邸宅" 第3話
「ここまで協力してくれて、本当にありがとう。真司がいなかったら、この会社はとっくに潰れていた」
俺は慌ててを振った。
「別に俺だけが頑張ったわけじゃないよ。それに、親父のためならなんだってやるよ」
会社の経営が定してからは、幹部に優秀なたちを置き、俺はエンジニアとしての仕事に集するようになった。
父は謝の気持ちとして、俺の料をげようとしてくれた。
しかし俺は、それを断った。
俺1がくのおを受け取るわけにはいかない。
たしかに俺がいなければ会社の再建はなかったかもしれない。けれど、会社は俺だけで成りっているわけではない。俺はエンジニアとして働くこと自体が楽しかったし、贅沢にも興がなかった。
それに、いまだに父と緒に暮らしていたため、活費もきくはかからなかった。
料はのエンジニアと変わらない額のまま、だけが過ぎていった。
気づけば、20が経っていた。
俺はベテランエンジニアになり、プロジェクトマネージャーとして若の育成も任されるようになっていた。周囲からの信頼もあり、社内ではそれなりのを築いていた。
その頃、く父の腕として支えてくれていた副社が退任することになった。
そして、しい副社が就任した。
就任初、副社は社員のでい調で挨拶した。
広告
「今から副社に就任することになった。社はしい支社の設で忙しいから、実質この会社の実権は俺が握ることになる。俺なりの改革をめていくから、気を引き締めて仕事をするように」
声はきく、自信に満ちていた。
その点では、俺はきなを抱かなかった。
癖のあるなのかもしれない。
それくらいに考えていた。
しかし、その考えはすぐに違いだったと分かる。
俺は就任初から、副社に呼びされた。
副社に入ると、彼は俺の履歴を見ながら、顔をしかめた。
「おさ、卒って本当か?」
俺は姿勢を正した。
「そうですね。学を卒業してからすぐに、この会社で働き始めました」
副社は子にもたれ、で笑った。
「けをかけてもらって仕事を続けてるのか。まあ、今までお疲れ様。おの仕事はから何もないから」
俺はを疑った。
確かに俺は卒だ。
それを隠すつもりはない。
けれど、この会社で20以働き、結果も残してきた。学歴だけで仕事を奪われるなど、まともな判断ではない。
「冗談ですよね。今はプロジェクトマネージャーとして働いていますし、担当案件もあります」
俺がそう言うと、副社の表が気に変わった。
「卒のくせに、俺に答えしてるんじゃねえよ。自分のを理解してるのか。おは会社の駒にもならないなんだよ」
広告
その瞬、これは冗談ではないと分かった。
副社は本気だった。
副社の言葉を聞きながら、俺はのできく息を吐いた。
父が社であることは、15ほどから周囲の社員には話していない。父も俺も、余計な気を使わせたくなかったからだ。もちろん、この副社もらないはずだった。
だからといって、自分が社の息子だから優遇しろと言うつもりはない。
そんなことを言えば、今まで積みねてきたものを自分で否定することになる。
ただ、副社の言っていることはらかにおかしかった。
俺は落ち着いて尋ねた。
「どういうことか説してくれませんか。俺はこの会社で20以働いていますし、エンジニアとしてのスキルもあります。学歴だけで判断するのは問題があるといます」
副社は机を指で叩いた。
「正直、そんなのはどうでもいい。俺は俺のやり方で改革していくって言ったよな。これが俺のやり方だから」
説になっていなかった。
俺はもう度、言葉を選んだ。
「学歴を見すということですか」
副社は眉をげた。
「今さら当たりのことを聞くなよ。逆に聞くけど、なんで卒が学歴も職歴も優秀な俺の部になれるとったわけ? ありえないだろ」
ありえないのは、それを本気で言ってしまう副社の方だった。
学歴や職歴が派なのは結構なことだ。努力して積みげたものなら、それは尊されるべきだとう。