みかん小説
本棚

"母の墓に立つ母" 第15話

そう尋ねても、誰もまともに答えてくれなかった。

荷造りも終わらないまま、ハルトは黒い見らぬワゴンに乗せられた。

その景を、庭の隅から見つめている子がいた。

、美優からメモを受け取ったあのの子だった。

ただならぬ気配をじた彼は、ワゴンていくとすぐに、こっそり携帯話を取りし、震えるで番号を押した。

「あの、ハルトが今、空港に向かいました。イギリスにくそうです」

受話器の向こうから息を呑む音が聞こえた。

美優のから、持っていたカップがに落ち、々に砕け散った。臓がどくんと落ちる音が、で響いているようだった。

美優は靴もまともに履かないまま玄関をした。タクシーに乗り込んでからも、の震えが止まらなかった。

「空港までお願いします。できるだけ急いで」

同じ頃、敬の執務の机の話が鳴った。

DNA鑑定関からの連絡だった。

「99.99%、親子関係で違いありません」

はしばらく息をえることができなかった。指先がかすかに震えていた。

すぐに美優の番号を押し、このらせを伝えようとしたそのだった。

呼びし音が2回も鳴らないうちに、美優の方から先に話が入った。

「会、今、ハルトが空港に向かっています」

美優の声はひび割れていた。

はその瞬、すべてを理解した。

広告

詳しい説を聞くもなく席からがり、秘へ叫んだ。

「警察に連絡しろ。今すぐ空港へ向かう」

空港の国ロビーは、き交う々でごった返していた。

その混みのを、輝と吉田がハルトの両脇を固めるように歩いていた。輝の元には、作り笑いが浮かんでいた。

「ハルト、もう息だ。おばさんがで待っているからな」

ハルトはその言葉に首をかしげた。

おばさんが、なぜもうにいるのだろう。

話の辻褄がわない違が、の隅をかすめた。しかし見らぬたちに囲まれ、疑問をせないまま、搭乗列のたされた。

列がしずつむたび、ハルトのさなは鞄の紐を固く握りしめた。

タクシーからりた美優は、全力で国ロビーへ駆け込んだ。

掲示板を見げる暇もなく、美優の目は狂ったように混みのを探した。息が切れ、肺が焼けつくようだったが、歩みを緩めることはできなかった。

そしてついに、くの搭乗列の端につ見慣れたろ姿が目にび込んできた。

「ハルト!」

美優の声が空港ロビーいっぱいに響いた。

々の線が斉にそちらへ向いた。

ハルトがはっとして振り返った。その瞬、ハルトの目に涙がどっと溢れた。

「おばさん!」

ハルトが列からそうとした瞬輝が素くその腕を掴んだ。

広告

「何をしている。静かにっていろ」

しかし、すでに遅れだった。

美優が混みをかき分けてり寄り、ハルトのもう片方の腕を掴んだ。

輝と美優ので、ハルトはどうしていいか分からずち尽くしていた。

その国ロビーの入りの方から、慌ただしい音が響いた。

と警察官たちが駆け込んできたのだ。

の目がハルトを捉えた瞬、その歩みは気にまった。

「そこまでだ」

警察官の叫び声が響き渡ると、輝の顔が真っ青になった。掴んでいたハルトの腕をし、ずさりしながら言葉をどもらせる。

「これは……これは誤解です。私はただ……」

言葉が終わるに、2の警察官が輝の両腕を掴んだ。輝はもがいたが無駄だった。

その景を見ていた吉田は、そのに凍りついたまま、逃げることさえ考えられずにっていた。

美優はそのすべての騒ぎので、ただハルトだけを抱きしめていた。

さな体をく抱き、震える肩を抑えきれずにいた。

丈夫。もう丈夫だから」

ハルトは美優の胸に顔をうずめ、こらえていた涙を流した。

空港の騒がしい喧騒の、その瞬だけは、世界の何者も2に入り込むことはできなかった。

取調で、秘の吉田は、押し殺してきた言葉を吐きし始めた。

刑事ので、彼の線は何度もに落ちた。

10く胸の奥にくのしかかっていた罪悪が、ようやくしずつ漏れしていた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: