"母の墓に立つ母" 第13話
美優はハルトの両肩を掴んだまま、しばらく何も言えなかった。のが真っになり、やがて抑えきれないが押し寄せてきた。
責任。
り。
そして、そのすべてを突き破って湧きがる、たった1つの決。
美優は唇を噛みしめた。
今度こそ、絶対に逃げない。
これまでの、見らぬたちを恐れ、姉にもこの子にもづけないままきてきた。
しかし、もう姉はいない。
今、この子を守れるのは、自分だけだった。
美優はハルトの目をまっすぐ見つめて言った。
「おばさんが、必ず守ってあげる。しだけ待っていて」
その約束を果たすため、美優はそので施設へ向かった。
園のドアを叩く指先は震えていた。
川崎ので、美優は必に静を保ちながらをいた。
「私がこの子の叔母です。引き取りたいのですが」
川崎の顔に瞬、戸惑いのが浮かんだ。だがすぐに事務な表へ変わった。
「そう簡単な問題ではありません。親族関係を証する類も必ですし、正式な続きを踏んでいただかなければ」
「では、その続きはどうすればいいのですか? 何を準備すればいいのでしょう?」
美優が焦って問い返しても、川崎は線をそらし、類をめくるだけだった。はっきりしないその態度の裏に、何か隠された事があることを、美優は本能にじ取った。
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結局、何の成果もないまま園をた美優の取りはかった。
すぐには引き取れない。
そう悟った美優は、万の事態に備えることにした。
施設の庭をる、庭の隅で遊んでいたの子を呼び止めた。学くらいに見える子だった。美優はあらかじめいておいたメモを1枚取りし、その子のにそっと握らせた。
「もしハルトが急に養子にくことになったら、この番号に必ず連絡してくれる?」
震える声だった。
その子は事がよく分からないようだったが、美優のまなざしに宿る必さをじ取ったのか、黙って頷いた。メモをポケットの奥くにしまい込むそのつきを見届け、美優はようやくし息をつくことができた。
そうして万全の備えをしたで、美優はハルトをなんとか施設のへ帰した。
取りは鉛のようにかった。
込みげる涙を必にこらえ、ハルトの額にくづけをすると、美優は背を向けた。
その歩が、美優にとっては世界で最もい歩だった。
ドアの隙から、ハルトはざかっていく美優のろ姿をい見つめていた。を伸ばしても届かない距だった。
たった今取り戻したはずのぬくもりが、再びざかっていく。
ハルトのさな肩が、かすかに震えていた。
施設をた美優は、もはや1ではこの状況をどうすることもできないと痛した。
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に真っ先に浮かんだのは、健の顔だった。
この子の実の父親。10、桜のでをつないだあの。
しかしすぐにいしたのは、いを通じて昔聞いた噂だった。
健はとうの昔に実と縁を切った。会社の仕事にも、企業の板にも、もはや関わっていないだという。
今すぐ彼を見つけしたとしても、この巨な壁のでどれほどの力になってくれるのか、美優には分からなかった。
美優は唇を噛みしめた。
ならば、残されたは1つだった。
この状況を気に覆すことができる、よりきく確かな力。
子どもの実の祖父。
Hホールディングスの会、田敬。
美優は何度もためらったを奮いたせた。
今となっては、体面を気にしている余裕も、プライドを守る余裕もなかった。ハルトを守れるなら、どんなのでだって膝をつく覚悟だった。
夜がけるとすぐに、美優は支度をえ、震えるでHホールディングス本社へ向かった。
Hホールディングスの本社ロビーは、理のがる、見慣れない威圧な空だった。
き交う々は皆、洗練されたスーツを着ている。そので美優は、自分の装がひどくみすぼらしくじられた。
けれど、引きがるわけにはいかなかった。
美優は受付へまっすぐ歩いていった。
「会にお目にかかりたいのですが」
受付の女性は丁寧にをげたが、声ははっきりしていた。