"母の墓に立つ母" 第6話
健は写真をに取ったまま、何も言えなかった。指先がかすかに震え始める。写真のの女性の姿、その見慣れた歩き方が、どうしても目に焼きついてれなかった。
まさかという気持ちと、もしかしたらという疑いが、胸ので渦を巻き始めた。
同じ頃、美優の元にも見らぬ物が訪れていた。
輝が差し向けた男だった。
男は1枚の写真を静かに差しし、い声で言った。
「健さんには、すでに縁談がんでいます。あなたはただの遊び相だったんですよ」
写真には、健が見らぬ女性と並んでウェディングショップに入っていく姿が映っていた。
美優のが、写真を握りしめたままわなわなと震えた。目のが真っ暗になるようだった。
必に平静を装って写真を置いたが、指先は氷のようにたくなっていた。
そのの夕方、落葉がい始めた角で、2は偶然にも顔をわせた。
いつも会っていた。いつも互いを待っていた所だった。
しかし、そのに限って空気は違っていた。
健のまなざしには見慣れない警戒が宿り、美優の線もまたたく沈んでいた。
「話があるの」
美優が先に唇をかしたが、健は線をそらし、先に背を向けた。に握った写真の残像が、彼の目のをちらついていた。
美優も、それ以言葉を続けることができなかった。
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自分が見せられた写真の景が脳裏に浮かび、喉までかかった言葉が凍りついた。
2はそうして、何の説も交わさないまま互いに背を向けた。
夕方のがものしく吹き、2の音は別々の方向へざかっていった。
の角を曲がった美優は、それ以歩き続けることができず、そのに崩れるようにち尽くした。たい壁に背を預けると、目がじんとくなる。こらえていた涙が頬を伝って流れ落ちた。
「私1の勘違いだったんだ」
声はすすり泣きに紛れて消えていった。
美優は両で顔を覆い、しばらくそのからけなかった。
まる夕の、美優の体は声もなく震えていた。
そしてその夜、1部に座る美優のが、ゆっくり自分のお腹のへいた。
まだ誰もらない。美優自でさえ、まだ受け入れられていないさな命が、そこに宿っていた。
のに散っていた落葉の匂いとたいの記憶がまだ消えないうち、美優の体には、これまで経験したことのない変化が1つ、また1つと現れ始めた。
毎朝、吐き気に襲われた。1杯でさえ、込みげてくるものをこらえるのがやっとだった。数は、ただが疲れているだけだとい込もうとしたが、めまいは向に収まらなかった。
ついに美優は、誰にも告げずに1で産婦科の扉を押した。
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診察の子に座る美優ので、医師が淡々とした調で告げた。
「妊娠8週目です」
その言がに突き刺さった瞬、美優のから血の気が引いていった。息が止まり、診察をる取りは何度もよろめいた。廊の壁にをつきながら、美優は何度もきく息をしなければならなかった。
祝福であるはずの言葉が、今は耐えられないほどの荷となって肩にのしかかっていた。
のには、夕方ので背を向けた健のろ姿ばかりが繰り返し浮かんでいた。
そのらせを最初にったのは、双子の姉・美紀だった。
受話器の向こうから聞こえる妹の震える声を聞いた美紀は、そのの夜のうちに鞄1つを持って、妹の宿のドアを叩いた。
ドアがくや否や、美紀は何も言わずに妹を抱きしめた。
その腕ので、美優はいこらえていた涙を流した。美紀はただ、その背を静かに撫で続けた。
「丈夫。お姉ちゃんがいるから」
その以来、美紀は妹のそばをれなかった。
真のけ方、美紀は台所でうずくまり、わかめを洗っていた。塩気がしでも残っているとつわりがひどくなるかもしれないと、わかめの茎を指先で1本1本丁寧にこすり洗いする。
たいで指先は赤くかじかんでいたが、美紀は気にしなかった。
こうして作ったお粥をいっぱい妹のに差しし、自分は残った汁にご飯をし入れて、台所にったまま急いでかき込む。