"20年目の神隠し夫婦" 第11話
それでも、目のの活を精杯きることこそが、いつか族に再会できるかもしれないという唯の希望だった。
2はフィリピンのにまみれ、に吹かれながら、すぎる20という歳を、ひっそりと、そしてくき抜いてきた。
あの夜、奄美島の防波堤で断ち切られたはずだった未来。
それは、恐怖という名の巨な網ので、2だけの力でつなぎ止めてきた祈りのようなだった。
のらせを受けた両の族は、すぐにフィリピンへびった。
現の空港での再会は、20というあまりにもいをみ込んだまま、静かにわれた。
俊介の母親は、言葉を発することすらできなかった。溢れる涙を拭おうともせず、目のの息子をただ見つめていた。
かつて若かった俊介は、に焼け、髪にいものが混じっていた。それでも、母親がを伸ばすと、彼は子どもの頃と同じようにしだけ目を細めた。
「母さん……」
その言で、母親は崩れるように俊介へ抱きついた。
しおりの姉・結は、妹の皺の増えた両をきつく握りしめた。
「しおり……しおり……」
何度も何度も、その名を呼んだ。
しおりは泣きながら頷いた。
「お姉ちゃん、ごめんね。ずっと……ずっと帰れなくて」
言葉で表現できるようなではなかった。
けれど互いの体温をじたその瞬、彼らがきて帰ってきたという確かな事実が、20分の傷を優しく包み込んでいった。
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帰国、警察は異例の再捜査を始した。
すでに公訴効は成していたが、当の犯たちの元を特定し、公式な記録として残すためだった。
俊介としおりは調に協力し、男たちの貌、訛り、の形状など、記憶の糸を必に繰り寄せた。
しかし、20の曖昧な記憶と証拠の壁はかった。
フィリピン警察との国際協力で類似の犯罪記録を照会したが、致する事件は見つからなかった。
犯を法で裁くことができないという事実は、族にいほろ苦さを残した。
それでも、この調記録は、今の失踪事件の対応マニュアルを改善するな資料として残されることになった。
メディアはこれを「20ぶりの奇跡」と々に報じた。
全国のニュースや聞が2の還をトップで伝え、インターネットにも祝福のメッセージが溢れた。
しかし、当事者や族にとって、それは単なる美談では終わらなかった。
彼らが失ったと、に負った傷は、決して消えることはないのだ。
帰国からしばらくして、俊介としおりは常活を取り戻すための、気のくなるような続きに追われた。
まず、すでに受理されていた失踪宣告を取り消し、法に再びこの世にするための続きをわなければならなかった。
民票の復活。
パスポートの再発。
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健康診断。
座の再。
2004で止まっていた2にとって、スマートフォンが普及し、あらゆるものがデジタル化された本社会は、まるで別ののように見えた。
駅の改札も、支払い方法も、連絡段も、々の歩く速さまでも、何もかもが変わっていた。
戸惑う2を、族は焦らせなかった。
温かい卓を囲み、親戚たちと何気ない会話をねる。そのつつが、彼らのをしずつ現へとつなぎ止めていった。
数、俊介としおりは、あのからが止まったままの所、奄美島を再び訪れた。
最に泊まった民宿は、すでに別のしい建物に変わっていた。けれど、目のに広がる青いと静かな波の音は、20と何も変わっていなかった。
2は夕暮れの辺をゆっくり歩き、あの防波堤のくで静かにち止まった。
しおりはにしていたさない束を、さらさらとした砂のにそっと置いた。
目を閉じ、潮をく吸い込む。
そして、誰に言うともなくく囁いた。
「私たちは、帰ってきたよ」
そのから2は、本でのしいを本格に歩み始めた。
失われたいは、2度と取り戻すことはできない。
それでも彼らは、残された々を互いのそばでしっかりときていくことを決めた。
未解決の失踪事件として扱われていた警察の記録は、ついに「確認」
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