"20年目の神隠し夫婦" 第6話
毎晩のように、同じ悪を見た。
暗のたいので、俊介が助けを求めて泣き叫ぶ。を伸ばしても届かない。声をしても、波音にみ込まれていく。汗びっしょりになってび起きる夜が、何度も何度も続いていた。
派だった父親の体は、見えない労によって、ゆっくりと壊れていった。
しおりの母親も、急激にを病んでいった。
療内科に通い始め、告げられた診断は度のうつ病と障害だった。
「あの子たちは、きっとどこかできている」
そう信じるがある。
「ひょっこり帰ってくるかもしれない」
そんなかすかな希望にすがるもある。
だが、ふとした瞬に、最悪の結末がをよぎる。
たいの底に沈んでいるのではないか。
どこか目のつかない所で命を奪われ、埋められているのではないか。
その考えが浮かぶたび、母親は過呼吸を起こし、パニックに陥った。
見えない恐怖と確実性が、族のと体を内側から確実に蝕んでいった。
2004の、凍てつくような寒さの、警察に1件の力報が入った。
事件当の夜2頃、奄美島の岸から500メートルほどれたの入に、審な黒い乗用がまっていたというのだ。
目撃者によれば、エンジンは切られ、ライトも消えていた。だが、に誰かが乗っていた気配があったという。
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族はすぐにこの報を警察へ伝え、藁にもすがるいで再捜査を懇願した。
しかし、警察の反応はややかだった。
「目撃者はのナンバープレートを覚えておらず、古い記憶のため確信も持てない。これだけでは証拠分です。けません」
担当刑事は、そう言って首を横に振った。
警察がかないなら、自分がくしかない。
しおりの姉・結は、たいが吹きすさぶの奄美島へ1で向かった。
いコートの襟をて、目撃された周辺の集落を1軒1軒歩いて回った。あせた作りのチラシを握りしめ、かじかむで何度もののドアを叩いた。
「事件の夜、審なを見ませんでしたか」
「どんな些細なことでもいいんです」
怪訝な顔をするにをげ、すがるように尋ねた。
しかし、どれだけ歩き回っても、たいが頬を打つばかりで、々の記憶の扉がくことはなかった。
だけが過ぎていった。
2005、結は最の希望を託し、額な費用を払って民の探偵事務所を雇った。
雑居ビルのにある事務所で、探偵は3かにわたり、当の記録や通信資料を細かく洗い直した。そして、警察が見落としていた、あるいは軽していた奇妙な事実を浮かびがらせた。
探偵から渡された報告を見た、結のはかすかに震えた。
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それは、2が失踪するのことだった。
午5頃、しおりの携帯話に1本のい話がかかってきていた。
発信者番号は非通。
公衆話からの発信ではないにもかかわらず、図に番号が隠されていた。
通話は、わずか50秒。
誰が、どこからかけてきたのか。
何を話したのか。
午5といえば、2が奄美島に到着し、民宿でくつろいでいた帯だ。
しおりは、その話で何かを聞いたのだろうか。
内容は切記録されておらず、永の謎になってしまった。
50秒という、く、絶妙な空の。
違い話にしてはく、世話をするにはすぎる。
その報告を聞いた結の背筋に、氷のようなたいものがった。
まるで、得体のれない見えない何かが、幸せの絶頂にいた2の背に音もなく忍び寄っていたことを暗示しているようだった。
何者かが、2を監していたのではないか。
その像が、結のをさらにいへ引きずり込んだ。
だけが無に過ぎていく。
2の方は、依然としていに包まれたままだった。
2007、事件から数が流れ、世の記憶から2の名はほとんど消えかけていた。
しいニュースが次々に消費され、俊介としおりの事件は、警察の分いファイルので、迷宮入りの烙印を押され、埃をかぶっていった。
結はそれでも、に1度は奄美島へ通い続けた。
だが、かつてのように島の々にチラシを配って歩くことはしなくなっていた。