"20年目の神隠し夫婦" 第3話
決して豪華ではない。けれど2にとっては、等の真が詰まった温かな計画だった。
結婚式から4、2は婚旅へ発した。
俊介は仕事の引き継ぎを完璧に済ませ、会社から3の休暇を取っていた。しおりはお気に入りのと、使い慣れたノートパソコン、しいデジタルカメラを丁寧に鞄へ詰めた。
発夜、しおりは実の姉・結に話をかけていた。
「お姉ちゃん、からってくるね」
話の妹の声は、とてもるかった。未来への希望に満ちていた。
「気をつけてね。素敵な記事がけるといいわね」
「うん。を見ながら、たくさん写真を撮ってくるつもり。俊介さんもすごく楽しみにしてくれてるの」
そのの、弾むような声のを、結はになって何度もいすことになる。
それが妹との最の会話になるとは、このはにもっていなかった。
翌の午4頃、を乗り継いだ2は、ついに奄美島へりった。
国特の温かく湿ったが、2の頬を撫でた。界の先にはエメラルドグリーンのが広がり、そのにはどこまでもい空があった。
予約していたのは、辺に建つ老夫婦が営む2階建てのさな民宿だった。部は質素だったが、窓をけると、広ながパノラマのように広がっていた。
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「素敵なところだね」
荷物を置きながら、しおりが窓のを見つめた。
「うん。本当に」
俊介も隣にち、同じ景を見た。
窓から差し込むのが、2のしいを黄に照らしていた。このまで、彼らのは違いなく希望ののをんでいた。
初の夕方、し暑さがらいだ頃、2は辺の散歩にかけた。
の空が燃えるような赤に染まっていた。波打ち際をゆっくり歩きながら、しおりはでデジタルカメラのシャッターを切った。レンズの向こうには、朱に輝く穏やかなと、これから始まる未来が映っていた。
俊介もポケットから携帯話を取りし、波と戯れる妻の姿を写真に収めた。画面ののしおりは、京での忙しい常よりもずっとリラックスしていて、から幸せそうに笑っていた。
夜8頃、民宿から歩いて5分ほどの所にあるさなコンビニエンスストアに、俊介が1で姿を見せた。
このの様子は、に警察が確認した防犯カメラの映像に残されている。
荒い画質のモノクロ映像。半袖のTシャツにハーフパンツというラフな格好の俊介は、内をし歩き回り、み物とスナック菓子をに取ってレジへ向かった。員と何か言葉を交わしたのか、映像のの俊介は柔らかく会釈し、袋を持ってをていった。
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だが、このるいコンビニから、暗い夜を歩いて民宿へ戻るまでのい距で、何かの異変が起きていたのだろうか。
当の奄美島には灯もなく、を映す防犯カメラはほとんど設置されていなかった。島の夜は、都会とは比べものにならないほどく、かった。
夜9頃、2はそろって民宿に戻ってきた。
ロビーにいた主が「お帰りなさい」と声をかけると、2は笑顔で会釈し、階段をがっていったという。
それが、者の目で確認された2の最の姿となった。
部に戻ると、しおりはすぐにノートパソコンをいた。静かな部に、カタカタとキーボードを叩く音が響く。画面のが、彼女の真剣な横顔を照らしていた。
夜915分。
しおりの個ブログに、しい記事が投稿された。
タイトルは「しい始まり」。
そこには、夕暮れの辺で撮った4枚の写真とともに、いけれど確信に満ちた文章が綴られていた。
記事は、こんな言葉で締めくくられている。
「はもっと素敵な1になるはず。すると緒なら、どこだって国だから」
送信ボタンが押され、言葉はインターネットのへ放たれた。
その温かなページが、しおりがこの世に残した最のデジタルの跡となった。
夜915分以、その部で体何が起きたのか。
誰かが訪ねてきたのか。
それとも2は自らへたのか。
窓のからは、ただ規則に波の音が聞こえるばかりだった。
く暗い奄美の夜が、音もなく2を丸ごとみ込んでいった。