みかん小説
本棚

"嘘葬りの豆腐店" 第8話

令状を取って今すぐ引っ張ってこい」

が沈む頃、3台のパトカーが警察署の駐へ入ってきた。

静、徹也、介。

3は廊瞬顔をわせた。

静は徹也に「くな」と目で命じ、徹也は怯えた顔の介を睨みつけた。

藤はその景を見て、刑事たちに図した。

「3とも別々にしろ。目配せもできないように引きせ」

6固く閉ざされていた真実の扉が、ようやくき始めていた。

藤が最初に向かったのは、第3取調だった。

そこには、義弟の介が座っていた。

35歳の介は、子に座ったまま激しく貧乏ゆすりをしていた。目のには濃い隈があり、噛みちぎられた爪が定な理を表していた。

藤は向かいの子を引いた。

介さん。19911116、あの夜どこにいましたか」

介は線を泳がせた。

「それは……随分昔のことなので、よく覚えていません」

「覚えていない?」

藤はタイムカードのコピーを机に置いた。

退届をして実に帰った。記録が残っているぞ」

介の顔がくなった。

「母の具が悪いと聞いて……」

藤は机をく叩いた。

「嘘をつくのはやめろ。母親も兄貴も、隣の部でもう全部話したぞ」

介の目がきく見かれた。

「え……兄貴が?」

「兄貴の徹也はこう言っていたぞ。弟の介が全部セメントを塗った。自分は言われた通りにしただけだ、とな。

広告

母親も同じことを言っている」

それは、取り調べでよく使われるな揺さぶりだった。

介の顔が、裏切られた絶望で歪んだ。

「違います。そんなの嘘だ。僕は兄貴に言われてやったんです」

「何をやれと言われた」

藤はを乗りした。

介は両を抱え、叫ぶように言った。

「兄貴が、セメントを塗れって言うから……僕はただセメントを塗っただけです。義姉さんをにかけてなんかいません」

藤の目が細くなる。

「じゃあ、誰がやったんだ」

介の唇が震えた。

「僕は、本当にりません。ってみたら、もう義姉さんがから血を流して倒れていて……兄貴が、くセメントを作れって鳴ったんです。やらなきゃおも同じ目に遭うって」

遺体を埋める作業に関わった自だった。

「埋めたは?」

「母が……血のついたや布団を庭のドラム缶で燃やせって。義姉さんのも、赤ちゃんの写真も、全部燃やしました」

介は机に額をぶつけるように泣いた。

「僕はずっと怖かった。6、毎晩悪を見ました。義姉さんがてくるんです。ごめんなさい。ごめんなさい」

藤は帳を閉じ、刑事たちに目配せした。

「連れせ。供述調を作れ」

ると、藤は輩刑事にく言った。

「1番い鎖が切れた。これでチェックメイトだ」

次に藤は、第2取調へ向かった。

徹也は子にふんぞり返り、自信ありげな表を作っていた。

広告

内ポケットから、くしゃくしゃになった切れを取りして机へ置く。

「刑事さん、をむやみに疑っちゃ困りますよ。これを見てください。俺はあの夜、の旅館にいたんです」

藤は無言でに取った。

の旅館名が印刷された領収だった。付欄には19911116かれている。

徹也は腕を組んだ。

「妻は事故か何かでしょう。俺はそのにいなかったし、お袋も関係ない」

藤は領収を蛍灯にかざし、付の部分を指で軽くこすった。

インクがわずかに滲み、指先についた。

「徹也さん。この領収、どこからしましたか」

「当泊まった旅館でもらったものです。引きしの理をしていたら偶然見つかって」

藤はふっと笑った。

「嘘をつくなら、もうを使え。1991の旅館で、こんなインクジェットプリンターの領収してくれるところがあったか。当きか、スタンプが普通だ」

徹也の顔の筋肉が固まった。

きな旅館だったから、械があったんでしょう」

「では、この数字はどう説する」

藤は付の「1」を指で叩いた。

の文字とフォントの太さが違う。1996の領収を拾ってきて、だけ1991き換えたんじゃないのか」

徹也のが机ので震え始めた。

その頃、第1取調では静が声を荒げていた。

「私が全部やったんだよ。私がやった。

息子たちには何の罪もない」

刑事が静に尋ねた。

「では、どうやってやったんですか」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: