"8年目の生マイク" 第11話
傍聴席のあちこちから、ハンカチで涙を拭う音が聞こえた。
6旬、本田さゆりの遺骨はさな骨壺に納められ、宇都宮の霊園へ置された。
黒い喪を着た男の正太と妹が並んでち、母の最のを見守っていた。
正太は母の遺を見つめ、唇から血がるほど噛みしめた。
「母さん、遅くなって本当にごめん。本当にごめん」
隣の妹が、兄の震える腕を掴みながら泣いていた。
2は母の墓のから、い、をかせなかった。
その、葬儀の角からい菊を持った恵子が静かにづいてきた。
64歳の恵子は、何も泣き続けたのか、目が赤く腫れていた。
彼女は墓にを供え、震える声で言った。
「さゆり、ごめんね。8、私がもうし勇気をしていればよかったのに」
声がで途切れた。
「あのの旦がおかしいってじていたのに、どうして私は、ののことだからって見て見ぬふりをしてしまったんだろう」
恵子はハンカチで顔を覆い、肩を震わせた。
遺ののさゆりは、友を慰めるかのように、穏やかに微笑んでいた。
正太がづき、恵子の肩にそっとを置いた。
「おばさん、本当にありがとうございました。母のそばで、唯の友達でいてくれて」
恵子は何度も頷き、涙を拭った。
宇都宮警察署の犯係で、班は事件の終結報告を作成していた。
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58歳のは老鏡をし、机のに置いた。乾いた目を指でこすり、窓のを見た。
佐藤刑事が温かいコーヒーを持ってきて、机のに置いた。
「班、し休んでください」
は窓のを見つめたまま、いため息をついた。
「8のあの、俺たちがもうし必にいがっていれば、この族がここまで壊れることはなかったはずだ」
佐藤は何も言わなかった。
は類のを閉じ、い声で続けた。
「単なるだと決めつけた。過の捜査チームのい込みが、1つの庭を8もき獄に放置したんだ」
彼はちがり、窓際へづいた。窓枠をく握る。
「隣の老婆が『ドン』という音を聞いたと言った、夫婦喧嘩だと片づけるべきじゃなかった。警察の痛の際だ」
佐藤は慎に言葉を添えた。
「それでも、班のおかげで今からでも真実が世にました」
は首を横に振り、寂しそうに笑った。
「失われた8だ。になしと言うが、きているのも巻き戻すことはできないんだよ」
そのの、関テレビのスタジオでは、再び未解決事件を扱う番組の収録準備がんでいた。
本田正弘が座り、妻を恋しがっていた席には、今は別の演者が座っていた。
収録現の隅で材を片づけていた輩ディレクターが、先輩にそれとなく尋ねた。
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「先輩、あの報提供の音声を持っていった伊藤由ディレクターって、どうしているんですか」
先輩はケーブルを巻きながら答えた。
「どこか静かな方局に転職したらしいぞ。荷物もほとんど残さずにっていったよ」
伊藤由は、事件の真実がらかになった直、辞表を提し、静かに関テレビをっていた。
彼女が荷物をまとめてていく、最に輩の肩を掴んで残した言葉があった。
「肝に銘じておいて。マイクは常にオンになっているとってきなきゃだめよ」
200712。
がい散る宇都宮の霊園には、たいが吹いていた。
本田さゆりの墓のには、寒に耐えるように置かれたさな霞の束が1つあった。束のには、さなカードが差し込まれている。
器用だが、のこもった文字がかれていた。
「おばさん、やっときちんと会いに来られました。本当にごめんなさい」
鈴匠が残した、涙に濡れた謝罪のだった。
川沿いのU歩には、相変わらずけ方の運にる々の跡が続いていた。
8のあの、本田さゆりが夫からの致命な話を受け、最に歩いた。
そのを、季節はまた無言でへ向かって流れていく。
8、劇の夫を演じ続けた男の仮面は、たった1つの切り忘れたマイクによって剥がされた。
そして、さゆりの声なき真実は、ようやく暗いの底から戻ってきた。
― 完 ―
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