"追放嫁と姑の鍵" 第13話
と言って私を追いした。
私が「あの子たちが何を望んでいるか聞いたことでもあるんですか」と言った、「やめろ」とを封じた。
私は首を横に振りました。
「私はもう、自分の名できています。帰る所はありません」
淡々としていました。
声は震えていませんでした。
復讐でも、りでもありません。
ただ事実を述べただけでした。
帰る所がない。
もっと正確に言えば、帰りたい所がない。
健はしばらく膝をついたままでした。ちがれません。
私が先に線をそらしました。
作業台のを再びに取ります。ナイフで茎を斜めに切り、揚げ用のバケツにてました。
健はやがてちがりました。
何も言わずにのドアをけ、ていきます。
ガラスのドアの向こう、健がを歩いていくろ姿が見えました。肩が落ちていました。
私はそのろ姿を見ませんでした。
の入れをするを止めませんでした。
のには、のりとナイフの音だけが残りました。
季節が何度か巡りました。
私のは、神戸の元町の裏通りでしずつ根づいていきました。常連客ができ、注文も定して入るようになりました。
あるの午、紀がにち寄りました。
カウンターに寄りかかり、コーヒーをむと、何気ない調子で言いました。
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「健さん、最建設現で雇いの仕事をしてるんだって。ずいぶんつらそうだったわよ」
私は作業台でバラの茎を入れしていました。
が瞬止まります。
1拍。
そして再びナイフをかしました。
茎を斜めに切り、揚げ用のバケツにてます。
それ以、何も言いませんでした。
紀もそれ以は聞きませんでした。
コーヒーをみ干し、「じゃあね」と言ってをていきます。
のに私1になりました。
私はしだけナイフを置き、窓のを眺めました。
何を考えていたのかは、自分でも分かりません。
ただ、くは見ていませんでした。
すぐにまたをに取りました。
私と健がやり直すことはありませんでした。
しかし子どもたちは違いました。
優太は週末になるとへ来ました。奥の部に鞄を置き、クレヨンを取りします。子に座って絵を描き始めると、が傾くまで席をちませんでした。
私がおにぎりを作って皿に乗せてやると、優太は絵を描くを止め、を伸ばしてつまんでべます。
「を洗ってべなさい」
私が言うと、優太は笑いながら奥の洗面所へっていきました。
も学が終わるとち寄るようになりました。
制のにエプロンをつけ、カウンターにってのラッピングを伝います。リボンを結ぶのが、ずいぶんになりました。
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お客さんが「娘さん?」と尋ねると、が答えるに、私は先に笑いました。
もつられて笑います。
2のに答えは必ありませんでした。
法律、私はこの子たちの母親ではありません。類のでは、何の関係も残っていません。
しかし8、毎朝弁当を作り、保護者面談を欠かさず、毎週曜に辺で緒に絵を描き、その絵を額縁に入れて壁に飾ってあげたは、婚届1枚で消せるものではありませんでした。
子どもたちは、それを分かっていました。
そんなあるのことでした。
紀から話がありました。
「美咲、ちゃんが学の作文コンクールで賞を取ったんだって」
「作文コンクール? どんなテーマで?」
紀はし言葉を止めました。
そして言いました。
「題名は、『私の本当のママ』だって」
私のからハサミが滑り落ちました。
紀は続けました。
「毎朝お弁当を作ってくれたママ。学芸会の装を徹夜で作ってくれたママ。毎週曜に辺で緒に絵を描いてくれたママ。描いた絵を額縁に入れて壁に飾ってくれたママ。ちゃんは、その全部をいたんだって」
私は話を切りました。
の奥の部へ入り、ドアを閉め、さな子に座りました。
声がません。
を押さえて泣きました。
肩が震えました。
しばらくそうして泣きました。
。
ママがごめんね。
そして、ありがとう。
奥の部の壁には、優太の絵が飾られていました。
を描いた絵。
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