"追放嫁と姑の鍵" 第11話
ご飯を取るふりをしてこらえました。
優太は宿題を終えると、作業台の横に座って絵を描き始めました。クレヨンと画用を取りし、のの景を描きます。
蔵庫のの。
リボンがかかった棚。
作業台ののハサミ。
優太のがくたび、がのに移し取られていきました。
私はその絵を壁に飾りました。
テープで貼ったスケッチの隣に、しい絵が並びます。
かつてリビングの壁からリナのでされた絵たちが、今、で再び居所を見つけていました。
しかしある、優太が泣きながらに駆け込んできました。
鞄も持たず、ジャンパーだけを着てってきたのです。
ドアをけるなり、私の腰に抱きついて顔を埋めました。肩がひどく震えています。
私は膝をつき、優太の顔を覗き込みました。
目が真っ赤に腫れています。
しばらく宥めていると、ようやく優太がをきました。
「リナさんが……ママは本当のママじゃないって。ママのふりしてるだけだって……」
私の腕が止まりました。
胸の内側が締めつけられます。
しかし私は、優太の目をまっすぐ見つめました。頬についた涙をの甲で拭いながら言いました。
「ママはここにいるわ。ママはどこにもかない」
優太は私の首に抱きついてきました。
私は優太を抱きしめたまま、しばらくのに座っていました。
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数の夕方、から話がありました。
声がいつもと違いました。
震えていました。
「ママ、おばあちゃんが病院に運ばれたの」
芳さんが倒れたというらせでした。
私はエプロンを脱ぎ捨て、をびしました。タクシーを拾い、病院へ駆けつけます。
救急来のに着き、護師に芳さんの名を告げました。
護師は私に尋ねました。
「ご族の方ですか?」
私はをきかけ、そして閉じました。
族ではありません。
婚した元嫁です。
「面会はご族のみとなっております」
護師の言葉はく、規則に沿ったものでした。
私は頼み込みました。
「あの、族ではないのですが……1度だけでも、お会いすることはできませんでしょうか」
護師は申し訳なさそうに首を横に振りました。
規則でした。
私はそれ以は言えませんでした。
廊の子に座り込みます。医療スタッフがき交う音がくに聞こえました。
私はそこに座って考えていました。
8、毎朝薬を用し、お粥を作り、を揉んであげたのは私なのに。
面会のドア1つ、けられないなんて。
切れ1枚が、とのに壁を作るんだな。
しばらくして、廊を通りかかった医師に芳さんの容態を尋ねました。
医師は言いました。
「きちんと事をされていなかったようで、薬も期んでいない状態です」
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私のが膝ので固く握られました。
私が8、1も欠かさず準備していた薬と事を、健とリナは誰も用していなかったのです。
私はちがり、病のガラス窓のへきました。
が見えます。
芳さんがベッドに横たわっていました。顔がずいぶん痩せています。
私はガラス窓にを当てました。
その、芳さんが顔を向けました。
ガラスの向こうで、私と目がいます。
芳さんのがゆっくりきました。
声は聞こえません。
けれど、の形は読み取れました。
「うまくやっているかい」
私は頷きました。
ガラスのに置いた指先がくなっています。
芳さんは、かすかに微笑みました。
私はガラス窓からをせませんでした。
ろから音が聞こえました。
健でした。
病院の廊で私を見つけ、を止めます。顔が張っていました。
「どうして来たんだ? もうだろ」
私は健を見つめました。
しばらく見つめていました。
答えませんでした。
背を向け、歩きしました。廊を抜け、病院の玄関をます。
健の声は追ってきませんでした。
芳さんは2週で退院しました。
そしてに戻ってきました。
しかし今回は違いました。
玄関のドアをけて入ってくる芳さんの取りは、8こので見せてきたものとはまったく違っていたのです。
を引きずっていません。
片方に傾いてもいません。
両がを均等に踏みしめ、まっすぐに歩いてきました。
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