"追放嫁と姑の鍵" 第6話
私はお弁当の蓋を閉めるを止めました。
そして、またかしました。
蓋を閉め、呂敷で包み、卓のに置く。
それが、そのの私にできるすべてでした。
リナが来てから3目のことです。
朝、ベランダの窓をけると、植鉢が1つなくなっていました。ゼラニウムがあった所です。
にはの跡だけが残っていました。
リビングへると、リナがのを歩き回っていました。棚のの物を1つ1つに取り、カーテンを触り、壁を眺めています。
リナはベランダの方を指差して言いました。
「ここのインテリア、ちょっとセンスが古いわね」
その言葉とともに、リナはベランダの植鉢を黒いゴミ袋に入れ始めました。
ホウセンカがまず入れられます。
袋のでがこぼれる音がしました。根が鉢の壁から引き剥がされる触が、私の指先まで伝わってくるようでした。
次はハーブの鉢です。
優太と緒に種を植えた鉢でした。優太が毎朝「僕がをやる」と言って、さなコップを持ってきた鉢です。
リナはそんなことはらないでしょう。
袋に入れながら、についたをぱんぱんと払いのけました。
植鉢の欠片が袋ので割れる音が、ベランダに響きます。
私はベランダのドアのにち、その景を見つめていました。
がきません。
胸ので何かが崩れていくのに、声をすことができませんでした。
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リナは最の植鉢を袋に入れると、何事もなかったようにベランダをていきました。
がらんとしたベランダに、だけが吹き込みます。
私はの跡が残るを見ろしました。
そのの午、リビングでさらにきな来事が起こりました。
リナが壁にかかった額をしていたのです。
優太の絵でした。
を描いた絵。
を描いた絵。
恐竜を描いた絵。
私が文具で1つずつ額縁を買い、絵を入れ、壁に釘を打って飾ったものでした。
リナは額縁を1つずつし、にてかけます。その所に、インターネットで注文したらしい景写真の額縁をかけました。
私は台所からその様子を見ていました。
けれど、私より先にその景を見ていた物がいました。
優太でした。
部のドアのにち、自分の絵が壁からされるのを黙って見つめています。唇を固く結んでいました。
泣いてはいません。
ただ、その目は壁に釘付けになっていました。
8歳の子どもが見せることのできる、最も静かな表でした。
私の臓が縮みがるようでした。
優太のもとへ駆け寄りたかった。
しかし私が歩踏みすに、が先に私の腕を取りました。のはさく、温かい。
私はそのをし握り、を見ました。
は唇を噛みしめていました。
子どもたちので泣いてはいけない。
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私はそれだけをっていました。
リナが私のに来ました。
腕を組み、私を見ろして言います。
「子どもたちを混乱させないでください。もう本当の母親が帰ってきたんですから」
健は隣にっていました。
何も言いません。
俯いていました。
私は健を見ました。
健が言、言ってくれればよかった。
しかし健のはきませんでした。
私はリナに言いました。
「あの子たちが何を望んでいるか、聞いたことでもあるんですか?」
健が割って入りました。
「やめろ」
い言葉でした。
たった3文字です。
しかしその3文字が、私の言葉を断ち切りました。
が卓で箸を置きました。優太が私の方を見ています。
私はそれ以、何も言いませんでした。
こので私の言葉が届く所は、もうありませんでした。
そのの夕。
リナが芳さんの部のドアをけて入っていきました。私は廊でその音を聞きました。
「お義母さん、老ホームを探した方がいいんじゃないでしょうか。私が見るのはちょっと変なので」
私はを止めました。
覚えていますか。
8、リナは芳さんが脳卒で倒れると、介護が嫌だと言って子どもたちを置いて逃げたです。
そのが戻ってきて最初ににしたのが、老ホームでした。
介護をしたくないのは、8も今も同じでした。
変わったのはただ1つ。
今回は芳さんを片付けなければ、財産にづけないという計算が見えるようになったことです。
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