"追放嫁と姑の鍵" 第5話
優太が隣で束を持って拍をしています。
「お姉ちゃん、かっこいい!」
鏡のでは、3が緒に笑っていました。
私にとって、その瞬がすべてでした。
学芸会当。
私は優太のを引いて学へ向かいました。優太はさな束を両で抱えています。
「お姉ちゃんにあげるんでしょう?」
そう聞くと、優太はきく頷きました。
講堂の客席に座ります。台の照がつき、ピアノのにが現れました。のワンピースを着たが、客席を度見渡します。
私と目がいました。
はし微笑むと、鍵盤のにを置きました。
最初の音が響きます。
私は膝ので両を固く握りました。の指が鍵盤のをくたび、私には過ぎった8が、その旋律のに込められているようにじられました。
け方のお弁当。
保護者面談で聞いた「うちのママ」。
鏡ので緒に笑った朝。
目がくなりました。
私はこらえながら拍を送りました。
この瞬が、私にとって母親として最も満たされた瞬でした。
公演が終わり、優太は束を持って廊へました。私もを追います。
まさにそのでした。
廊の突き当たりで、見覚えのない女性がを抱きしめていました。
いストレートの髪。
った装。
私が見たことのない女性。
その女性は、の顔を両で包み込むようにして言いました。
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「ママ、来たわよ。」
リナでした。
8ぶりに戻ってきた、子どもたちの実母でした。
私のが止まりました。
に持っていた束のセロハンが、くしゃりと音をてます。
が振り返りました。
リナと私を交互に見る目が揺れています。がき、閉じられました。言葉がてこないようでした。
私はリナの顔を見ました。
その瞬、数の夜の記憶がなります。
健のシャツから漂ったらないの匂い。
暗で点滅したスマートフォンの通。
らない女性の名。
私の瞳が揺れました。
健はすでに、リナと連絡を取っていたのです。
廊には健もっていました。
リナの隣です。
私を見る健の目には、申し訳なさではなく、すでに何かを決めてしまったのい決がありました。
私はその差しを読み取りました。
何も言いませんでした。
ただ、優太が持っていた束をのに握らせました。は束を受け取ると、私を見げます。
私はのを度撫で、背を向けました。
優太が私のにしがみついてきます。
私はそのさなを握り返しながら、廊を歩きしました。
そのの夜。
子どもたちが眠った、健はリビングに私を呼びました。卓のには何もありません。
健はしばらく黙ってから言いました。
「リナが帰ってきた。
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子どもたちには実の母親が必なんだ」
私は健を見つめました。
「8、私が育てました。私が母親です」
健は答えませんでした。
線をそらします。
私をまっすぐ見られないその目が、どんな言葉よりもはっきりとした答えでした。
私はちがり、部へ入りました。ドアを閉め、壁に背をもたせかけたままに座り込みます。
声をさないように、唇を噛みしめました。
その、話が鳴りました。
実の兄からでした。
「美咲、母さんが入院した。容体が良くないそうだ」
私は受話器を握ったまま、しばらく何も言えませんでした。
片方ではが崩れ、もう片方では母が倒れる。
私が頼れる所は、どこにもありませんでした。
「私、今どうすればいいの……」
その夜、台所からさな話し声が聞こえました。
私がドアをしけて覗くと、リナが健と並んでっていました。リナのい声が聞こえてきます。
「お義母さんの財産理は、ちゃんとしてあるの?」
健は答えませんでした。
しかし、否定もしませんでした。
私は静かにドアを閉めました。
胸が締めつけられます。
リナが戻ってきた理由が子どもたちだけではないことを、私はその言で悟ってしまいました。
翌朝、私が台所でお弁当を作っていると、玄関で物音がしました。
振り返ると、リナがスーツケースを引いて玄関にっていました。
靴を脱ぎ、当然のようにのへ入ってきます。
そのが、私の界のでゆっくりとを踏みました。