みかん小説
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"名刺一枚の逆転縁談" 第12話

父は私に優しく笑いかけた。

「まなみは子どもの頃から美容師を目指していましたからな。私たちも、まなみが会社の仕事には興がないのは分かっていました。そうだろう、まなみ」

「うん。全く」

私はすぐに頷いた。

「それよりも、美容師をやっている方が断然楽しいから」

父は満そうに頷いた。

「ということで、この子は会社の経営には全く関係ありません。もちろん、結婚しても優馬君がうちの会社経営に加わることはないでしょう」

「そんな……せっかく結婚するのに」

優馬さんの母親は、がっくりと肩を落とした。

すると今度は、優馬さんの父親が言いした。

「別にまなみさんには好きなことをしてもらえばいいじゃないか。それで優馬にはうちの会社を継いでもらえばいい」

「それもそうね。じゃあ、そういうことでめでたしめでたしね」

に納得しかけた両親に、優馬さんが静かに言った。

「父さん、俺は父さんの会社を継がないよ」

「何?」

「それについてはから言っているじゃないか」

優馬さんの父親は、信じられないという顔をした。

「おは俺の息子なんだから、会社を継がなくては駄目だろう」

「俺は今の仕事を辞める気はない」

「何を言っているんだ。今の仕事は楽で始めたようなものだろう。なんてやったって、どうせ儲からない。おももういいなんだから、そろそろ遊びは終わりにして会社の方に本腰を入れてもらわないと」

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優馬さんの表が険しくなった。

「俺は楽でをやっているわけじゃない。ぶ姿をで見たいから、今の仕事をしているんだ。だから父さんの会社を継ぐつもりはない」

「お見なんてどうでもいい。事なのは会社だ」

その、父が穏やかに割って入った。

「まあまあ。優馬君は派じゃないですか。自分のをちゃんと持っていて、今、やりたいことがはっきりしている青も珍しいですよ」

優馬さんの父親は、戸惑うように父を見た。

「それはそうかもしれませんが、では誰がうちを……」

「会社を誰に継がせるかは悩みますよね。でも、別に息子さんでなくても、信頼できる社員に任せるのも1つのです」

「社員に?」

「嫌々やらせたところで会社は伸びません。むしろ、やる気のあるに任せた方がうまくいくもあります」

優馬さんの父親は、真剣な顔になっていた。

「そういうものですか」

「それに、優馬君の経営を甘く見てはいけません。もうまくいけば、2号、3号と広げていくこともできます。どんなさなことでも、ビジネスには能性がありますからな」

「なるほど。優馬の仕事にも、そんな能性が……」

気づけば父親同士は、両わせの席だというのにビジネスの話で盛りがり始めていた。

この2、ビジネスにおいてはと相性がいいのかもしれない。

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ただ、それを横で聞く母の目は、もう笑っていなかった。

、この顔わせのに父が母にこっぴどく叱られたことは、言うまでもない。

数か、私は優馬さんと無事に結婚式を挙げた。

いドレスを着て控つと、母は目に涙を浮かべて私を見た。

「まなみ、綺麗よ。おめでとう」

「ありがとう」

鏡に映る自分の姿を見ながら、私は胸がいっぱいになった。美容師としてたくさんの嫁の髪をえてきたけれど、自分がこうしてドレスを着るが来るなんて、どこかのようだった。

には、両の親族や友たちが集まっていた。

優馬さんは、し緊張した様子で私を待っていた。目がうと、彼は照れくさそうに笑った。

「まなみ、すごく綺麗だ」

「ありがとう。優馬さんもちゃんとしてるね」

「そこは応、郎だからな」

私たちはさく笑った。

義父の会社を誰が継ぐのかという問題については、現も義父の会社で働いている夫の従兄に継がせる話がているらしい。優馬さんは、自分のの仕事を続けることになった。

私も、美容師を続ける。

親が会社を持っているからといって、子どもが必ずその会社を継がなければならないわけではない。

子どものと、親のは違う。

そのことを、私たちはようやく両に分かってもらえた。

けれど結婚式の最、またし騒がしい面があった。

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