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"名刺一枚の逆転縁談" 第10話

実は母は、で1番い。

父が田舎への移を決めたのも、母の希望を尊したからだった。

母はにっこり笑ったまま話を戻した。

「それで、何の話でしたかしら。ああ、移の話でしたね。私の希望で、今は田舎にんでいるんです。先ほどタワーマンションからの景の話を伺いましたけど、田舎の田園景もそれは綺麗なんですよ」

母は優しく首を傾げた。

「しかも、そこでべる採れたての野菜が美しくてね。そうよね、あなた」

父は頷いた。

「ああ。のどかな景を見ながら耶の作ったご飯をべるのは最だな」

「そうでしょう。だから、もしこの結婚がうまくいくようでしたら、桜庭さんにもいつかうちに来ていただいて、緒にご飯でもとっていたんです」

母はそこで、にっこり笑った。

「でも先ほど、結婚の話はなかったことにしてほしいとおっしゃっていましたよね」

優馬さんの父親の額に汗が浮かんだ。

「あら、こんなこともおっしゃっていましたよね。うちの娘は、お宅の息子さんに釣りわないとか。今でもそうっていらっしゃるんですか?」

母は笑顔を崩さなかった。

けれど、その目の奥は全く笑っていなかった。

優馬さんの父親は、見るからに狼狽していた。

「そ、そんな滅相もございません。むしろ、うちの嫁にしてはもったいないくらいで」

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顔にはや汗が浮かんでいる。

しかし、横の母親は別の方向へ考えがんだようだった。

「そうよ。釣りわないなんて、ちょっとした言い違いです。むしろうちは歓迎です。ねえ、あなた」

そして彼女は、先ほどまでとは打って変わってよく私に笑いかけた。

「だって、まなみさんがうちに嫁に来るってことは、企業がうちのバックにつくってことよ。これでうちの会社ももっときくなるかも」

「馬鹿者!」

優馬さんの父親が慌てて止めた。

「そんなことを軽々しく言うんじゃない」

「だってそうでしょう?」

「うちは藤井マーケットさんに恩があるんだぞ」

母親は目を瞬かせた。

「恩? 何のこと?」

優馬さんの父親は、震えるで名刺を握りしめたまま話し始めた。

「20、うちの会社が潰れかけたことがあっただろう。まだ世品がさほど認されていなかった代だ。うちの会社は全く利益ががらず、資繰りに苦労していた」

母親は、しずつすように頷いた。

「そういえば、そうだったわね」

「あの、俺は融資を頼もうと々な会社を回った。だが、ほとんど相にされなかった。そんな、唯うちに融資してくださったのが、フジマーケットさんだった」

優馬さんの父親は、父を見た。

「当の社が、うちの取り扱う商品はそのうち必ず消費者に受けるとおっしゃって、額の融資をしてくださった。

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そのおかげで、うちは業績をげることができたんだ」

母親の顔が青ざめた。

「もしかして、そのの社っていうのが……」

父は静かに答えた。

「ええ、私です」

優馬さんの父親は、突然畳にをついた。

「申し訳ございません。全く気づかずに」

父は柔らかく言った。

「顔をげてください。気づかないのも無理はないでしょう。あれから20経っていますし、あなたはあのに額を擦りつけてお願いするばかりで、ほとんど顔をげませんでしたから」

その言葉に、優馬さんの父親はさらにさくなった。

「しかし、私の目に狂いはなかった。会社はうまくいっているようですな。実は、あれから御社がどのように成していくのか、折に触れて見ていたんですよ」

「本当に、その節はお世話になりました。うちがうまくいっているのも、すべて会のおかげでございます」

彼の父親はげた。

「そして、本のこれまでの非礼、誠に申し訳ございませんでした」

の空気は、先ほどとは完全に変わっていた。

優馬さんの母親は、や汗をかきながらも何とか笑顔を作った。

「もう、まなみさん、が悪いわ」

「え?」

「だってあなたは社令嬢……いえ、今は会令嬢なんでしょう? それをすぐに言ってくれれば、結婚だってすんなりんだのに」

私はしだけ眉をひそめた。

「何を言っているんですか?」

「もしかして、私たちのことを試していたの?」

母親は笑顔を作っていたが、その声は引きつっていた。

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