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"名刺一枚の逆転縁談" 第8話

父は穏やかに答えた。

「いえ、私どもは素敵な庭をゆっくり見させていただいておりましたので、お構いなく」

「そうでしょうとも。いや、とはえない。こんなを見つけるなんて、さすが私の息子だな」

「父さん、それよりまずは挨拶だろ」

「ああ、そうだな」

ようやく全員が席に着いた。

優馬さんの父親が名乗った。

「初めまして。桜庭優馬の父、桜庭です。こちらは妻の由利です」

父も丁寧にげた。

「藤井まなみの父、藤井省吾と申します。こちらは妻の耶です」

挨拶が終わると、優馬さんの父親はすぐに私の父に尋ねた。

「藤井さんのお宅はどちらですかな?」

「今は田舎にんでいまして、周りにはのどかな田園景が広がっていますよ」

「ああ、やっぱりそうでしたか」

「やっぱり、とおっしゃいますと?」

「いや、お嬢さんを見たからそうなんじゃないかとっていたんですよ。ほら、田舎からてきた子ほど、奇抜な髪型をしがちじゃないですか。やはりった通りでした」

私は内で拳を握った。

、インナーカラーなど別に珍しくもない。けれど私はさなかった。今は両親が話すだとったからだ。

ここで私が反論すれば、また「品がない」と言われるに決まっている。

そう自分に言い聞かせていると、彼の父親は続けた。

は港区のタワーマンションなんですよ。

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ああ、タワマンって分かりますかな?」

らかに見している。

それでも父は穏やかに答えた。

「もちろん分かりますよ」

「さすがに田舎暮らしでも分かりますか。層階から見ろす並みは絶景でしてね。毎晩、最の夜景が楽しめるんですよ。まあ、田舎暮らしでは到底見られない景ですな」

母親が横で笑った。

「やあね、あなた。そんなことを言ったら藤井さんに失礼でしょ」

そう言いながら、彼女自も笑っていた。

父は挑発に乗らなかった。

「夜景ですか。いいですね。でも、田園景もいいものですよ。季折々の景を楽しめて、見ているだけでのんびりした気分になれますから」

「田舎暮らしがいと、そうなるのでしょうな」

優馬さんの父親は、今度は私に目を向けた。

「それより、お嬢さんは確か美容師でしたよね。ということは、藤井さんも美容師なんですか? よくありますよね。が美容師だから、子どもも何も考えずに美容師になるというパターン。お宅もやはりそうなんですか?」

母親がぷっと吹きした。

「親子で美容師なんて、本当に田舎っぽいわ。でも田舎だと美容院なんて儲からないでしょう? 田舎のって、そういうことに気を使っていなさそうだし。そもそも美容院なんて必あるのかしらね」

さすがに、私のりが膨らんだ。

なんと失礼なことを言うのだろう。

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けれど父は、変わらずにこにことしていた。

「美容院が儲かるかどうかは分かりません。うちは美容院ではありませんので。でも田舎にも美容院はちゃんとありますよ。なあ、耶」

「ええ。私もいつも美容院でカットしてもらっていますからね」

母もおっとりと答えた。

優馬さんの母親はわざとらしく目を丸くした。

「あら、田舎にもあるんですね。だったわ」

その、優馬さんの父親は本題のように尋ねてきた。

「では藤井さんは、どのようなお仕事をされているんですか? うちは輸入品の会社を経営していましてな」

父は頷いた。

「娘から聞いております」

「今は庭でもいろいろな国の料理を楽しみたいというがいるでしょう。そういう方でも気軽に本格な料理が楽しめるよう、現材を輸入して販売しているんですよ。これが当たりしましてね」

父は静かに相槌を打った。

「確かに今は、庭でも気軽にの料理を楽しむいですしな」

「そうなんですよ。私には先見のがあったということですな」

彼の父親は誇らしげに笑った。

「それで、藤井さんはどんな仕事をされているんですか? 美容院ではないとなると、やはり農ですか?」

「ああ、確かに田舎は農のイメージがありますよね。でも残ながら、私は違います」

父はしだけを置き、穏やかに答えた。

「私は今、たまにスーパーで働いている程度です」

その瞬、彼の両親の表が変わった。

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