"名刺一枚の逆転縁談" 第7話
「ごめん。母さんが余計なことを」
「本当に、会社を継ぐの?」
「いや、俺は本当に継ぎたくないんだよ」
優馬さんはカウンターに肘をつき、さく息を吐いた。
「好きな仕事だったら全然いいんだけどさ。父さんの会社には興がない。今の仕事の方が楽しいんだ」
「そっか」
「だからして。俺は両親が何と言おうと、まなみと結婚するつもりだから」
その言葉に、胸がしだけ軽くなった。
「ありがとう」
「それにしても、父さんたちがそんなことをするなんて。こうなったら、段によう」
「段?」
「もう、結婚の挨拶にこう。まずは俺が、まなみの実に挨拶にく」
「いいの? ご両親が反対しているのに」
「だからこそ、まなみのご両親を方につけちゃおうかなって。今度、ご両親に挨拶に伺ってもいいかな?」
「もちろん。都のいいを聞いておくね」
こうして私たちは、田舎にんでいる私の実へ挨拶にくことになった。
両親は結婚に驚いていたものの、優馬さんのことをすぐに気に入ってくれた。父は彼の話をよく聞き、母は料理をたくさん並べて歓迎した。
帰り際、父は優馬さんに向かって言った。
「いやあ、こんな好青とまなみが結婚することになるとはな。優馬君、まなみのことを今ともよろしく頼みます」
優馬さんは背筋を伸ばし、くをげた。
「こちらこそ、まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いいたします」
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父は嬉しそうに笑った。
「じゃあ次は、優馬君のご両親との挨拶か。楽しみにしておくよ」
そのの私は、まだらなかった。
その顔わせので、あれほど激しい展が待っていることを。
私の実への挨拶が無事に終わった帰り、優馬さんはので言った。
「じゃあ次は、両の顔わせだな」
私はわず横を向いた。
「顔わせ? なんか段取りをすっばしてない? 次は私がそっちのにくんじゃないの?」
「それだと、分というか絶対に、ごなしに反対されるだろう。だからもう、どこかの料亭で顔わせしようとう」
「その案、丈夫? むしろそんなことをしたら、そっちのご両親がに来て、さっさと帰っちゃうとかないかな」
「そうならないように、父さんたちがびそうなを選ぼうかなって。そうしたらしは話も聞いてくれるかもしれないし」
優馬さんは、し考えながら続けた。
「それに、ちゃんと話せば父さんも応経営者だし、まなみのご両親を気に入るとうんだよね」
「そうかな」
はあった。
けれど、このままでは何もまないことも分かっていた。
「まあ、優馬さんがそう言うならいいけど」
「ちょっと引だけど、こうでもしないと俺たち結婚できなさそうだからな」
「分かった。とりあえずそれでやってみようか」
こうして3週、し引な両顔わせがわれることになった。
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所は、父が紹介してくれた料亭だった。
当、私と両親が先にへ到着した。
父はいつも通り、なジャケットに落ち着いたのネクタイを締めていた。母は淡いのワンピースを着て、穏やかな笑みを浮かべている。
「緊張してるの?」
母が私の肩にを置いた。
「うん。かなり」
「丈夫よ。まなみはまなみらしくしていればいいの」
父も、庭を見ながら言った。
「相がどんなであれ、こちらが礼を失する必はないからな」
「お父さん、らないでね」
私がさく言うと、父は笑った。
「るようなことがなければな」
その、廊の向こうから音がした。
最初に入ってきたのは優馬さんだった。
「遅れてすみません」
「ううん。そんなに待ってないし丈夫よ」
焦っている優馬さんとは対照に、彼の父親はゆっくりと部に入ってきた。
「ああ、なかなかいいところだな。いやあ、ここにこんながあったとは」
彼は部にいる私たち族に目もくれず、部のを見回した。続いて入ってきた母親も同じだった。
「本当、素敵なおね。今度、取引先の方もお連れしたら?」
「そうだな」
優馬さんが慌ててを挟んだ。
「父さんも母さんも、まなみのご両親を待たせてるんだから。部のはでいいから」
「おっと、失敬」
父親はようやくこちらを見た。
「えっと、藤井さんでしたかな。しばかり遅れてすみませんな」
謝っているとはえない、軽い笑い方だった。
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