"祝儀袋と消えた花嫁" 第4話
「やれやれ、いやつらだ」
私はさく笑った。
その、くから鳴にも似た声が聞こえた。
声の方を振り返ると、先ほどのプランナーが慌てた様子でこちらへ向かってくるのが見えた。そのろには、眉にしわを寄せ、首をかしげるようにしながら歩いてくる嫁がいた。
きっと、あれがあかりちゃんだ。
本来なら、その、嫁は控えで支度をえているはずだった。控えからるにはまだい。プランナーは戻るよう促しているようだったが、あかりちゃんはまったく歩みを止めない。
いドレスを揺らしながら、彼女はまっすぐ私へ向かってきた。
そして、私の目のでち止まった。
仁王ちのまま、鋭い目で私をにらみつける。
「ねえ」
「はい」
私は反射に返事をした。
「あんた、さっきから男に振りまいて何様のつもり?」
瞬、何を言われたのか分からなかった。
「私より先にちやほやされてんの? どう考えてもおかしいでしょう? の程をわきまえなさいよ」
く、押しつぶすような声だった。
私は驚きすぎて、言葉がなかった。
「あの……」
「入りで招待客捕まえて、何ナンパしてんのよ。目使っても無駄よ。控えからマジックミラーで見えるのよ」
マジックミラー。
その言葉で、控えの位置をいした。ロビーの様子が見える部だったのだろう。
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彼女は私が親族や友たちと挨拶している様子を見て、勝に勘違いしたらしい。
「よく聞きなさい。あれはあたしの結婚式の客よ。あたしが主役なの」
私はわず眉を寄せた。
確かに今は、嫁が主役のでもある。
けれど、優也が招待した友たちを「あたしの客」と言い切るのは、さすがに違うのではないか。
それに彼女は、私が郎の姉だということをらない。
らないにしても、あまりにもひどい態度だった。
「あんたね、似わない着て恥ずかしくないの? っぽいしダサいし、のおばさんが着るデザインじゃないよ」
その言葉に、胸がきゅっと痛んだ。
優也が「似う」と言ってくれたドレスだった。
言い返してやろうかとい、私は目線をげた。けれどその瞬、隣につプランナーの顔が真っ青になっているのに気づいた。
このは今までずっと、この自分勝な嫁に振り回されてきたのかもしれない。
そううと、りより先に同が湧いた。
私がここでくなってどうする。
今は優也の結婚式なのだ。
穏便に済ませて、控えへ戻ってもらうのが番いい。
私はできるだけ落ち着いた声をした。
「あの、まだお支度のおがありますし、お部に戻られた方が……」
「戻るわよ。当たりでしょ。でも、あんたは帰ってね」
「帰る?」
「あんたみたいな、チャラチャラ若ぶったブスのがいると、私の結婚式が台無しなの」
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私は息を呑んだ。
「優也に女は招待するなって言ったはずなのに。もう、ほんと最悪」
あかりちゃんは私のバッグをちらりと見た。
「持ってきた祝儀は置いてって、さっさとてってね。私が優しく言ってるうちに言うこと聞きなさいよ。さもないと、どうなってもらないわよ」
言い終えると、彼女はを鳴らした。
「じゃ、そういうことでお願いね」
そして、さっさと歩きした。
プランナーは全方位に向かってをげていた。のスタッフも困った顔をしている。表を確認しているスタッフもいて、お支度のが守られていないのはらかだった。
私はそのにち尽くした。
なんということだろう。
私は、あの子の姉になるのだろうか。
優也は、あの子をきちんとったで選んだのだろうか。
私が切に育てた弟の未来は、どうなってしまうのだろう。
ロビーのが、し揺れたような気がした。
目のがぐらぐらと歪んできた、久しぶりに聞く声がした。
「あら、京子ちゃん」
私ははっとして振り返った。
そこにいたのは、父の姉である伯母だった。
「おばちゃん」
伯母は昔から優しくて、面くて、おしゃれなだった。両親がくなった、銭な援助を番くしてくれたのも、この伯母だった。
私は慌てて駆け寄った。
「おばちゃん、どうしました? お洗いですか?」
伯母はし困ったように笑った。
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